失効した教員免許状の再授与「速やかな実施を」 末松文科相

 教員免許更新制の下で失効した教員免許状の再授与について、末松信介文科相は7月5日の閣議後会見で、「申請があった場合に、速やかに授与できるよう、各都道府県に適切に対応していただく必要がある」と述べ、各都道府県教委に再授与の速やかな実施を求めた。一部の都道府県教委で、手続きの簡素化を巡る具体的な対応が決まっていないため再授与が遅れていることについては「通常の手続きで再授与を速やかに実施していただきたい」として、手続きを簡素化するための規則改正などに時間がかかる場合には、従来の手続きで速やかに再授与を行うことを求めた。

記者会見で質疑に応じる末松文科相

 末松文科相は、再授与の手続きについて、教員免許更新制の廃止を盛り込んだ教育職員免許法の改正案が5月11日に国会で成立して以後、約2週間をかけて全ての都道府県教委と個別にオンラインで意見交換を行い、改正教育職員免許法の施行通知を出した経緯を説明。6月29日には都道府県教委に対するオンライン説明会も行ったという。

 こうした対応をとる中で、一部の都道府県教委では「手続きの簡素化に必要な規則改正などが遅れている」と指摘。「その際にも、通常の手続きによる再授与を速やかに実施していただきたい」と続けた。さらに「速やかに、というのは当たり前のこと。遅れについては、こちらの要望も兼ねてきちんと対応したい」と述べ、簡素化された手続きか通常の手続きかに関わらず、迅速に再授与を行うよう都道府県教委に要請した。
 
 改正教育職員免許法の施行によって教員免許更新制が廃止され、7月1日の施行日時点で、現職教員が持つ有効な教員免許状は手続き不要でそのまま有効期限がなくなり、生涯有効な免許状になった。

 現在教壇に立っていない「ペーパーティーチャー」の場合は、2009年4月の免許更新制導入前に授与された旧免許状と、免許更新制の下で授与された新免許状で、取り扱いが異なる。旧免許状のペーパーティーチャーの場合、免許状はそもそも有効期限がないものとして取得されているので「休眠」として扱われ、改正法の施行によって、特に手続きをしなくても有効期限のない免許状となる。

 これに対して、新免許状はもともと取得時に10年間の有効期限が設定されており、ペーパーティーチャーなどで有効期限が切れている場合は「失効」として扱われる。失効した新免許状は、改正法の施行に伴い、都道府県教委に再授与申請手続きを行うことで、有効期限のない免許状の授与を受けることが可能になった。末松文科相がこの日の会見で都道府県教委に「速やかな授与」を求めたのは、こうした新免許状で有効期限が切れて失効しているケースが対象となる。

 教員免許更新制の下で失効した教員免許状の再授与を巡っては、国会の附帯決議で教師不足を解消するためにも「十分に周知を図る」とともに、「都道府県教委に対して事務手続きの簡素化を図るように周知する」ことが政府に求められている。これを受け、文科省は免許状授与権者となる都道府県教委に、再授与を巡る手続きの簡素化を要請。過去に申請者に対して免許状を授与した事実が確認できる場合には、一部の書類の添付を省略するなどの簡素化を促した。

 しかしながら、失効した新免許状を保持する教育新聞の記者が取材したところ、一部の都道府県教委では「必要な書類の簡素化について、どのように取り扱うかの方針はまだ検討中」として、7月1日の段階で手続きの簡素化を巡る規則改正が間に合わず再授与が進まない状況が判明した。文科省では「しばらくたってから、各都道府県の状況を確認していきたい」(総合教育政策局教育人材政策課)としている。

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