ギフテッド支援の難しさ 超教育協会シンポで切実な声多数

 特定分野に特異な才能のある児童生徒への教育や支援の充実が求められている中、超教育協会(会長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)は7月6日、こうした子供たちの可能性を伸ばす支援の在り方を考えるオンラインシンポジウムを開催した。才能教育を専門とする隅田学・愛媛大学学長特別補佐・教育学部教授が同学の教育プログラムについて講演。視聴した保護者などからは質問が相次ぎ、「日々の生活で四苦八苦している」「不登校になるケースが多い」など、切実な声が多数寄せられた。

 隅田教授は「才能児の行動特徴例」として「長い時間、何かにこだわり熱中する」「学習が早い。考えをすぐに結び付けることができる」「同年齢の児童生徒と比較して、多くの語彙(ごい)を保持し、複雑な文章を作る」といった側面がある一方、「自分や他人が何かをできなかったり、遅かったりするのにイライラする」「強い感情や反応があり、傷つきやすい」といった側面も併せ持つケースがあると指摘した。

 同時に、こうした子供たちには「才能児は何でもよくできる」「知能指数が高い」「才能児は心が健全である」「傑出した大人物に成長する」といった誤解が生じやすいことも紹介。その上で、才能教育プログラムの主要な形態として、上位学年の内容を学習したり飛び級・大学単位取得などをしたりする「早修」と、教科横断的なカリキュラムや課題研究・プロジェクト学習などを中心とした「拡充」の2つの方向性を示した。

 隅田教授は2010年から愛媛大学で、未就学児~小学校低学年で科学分野に才能のある子供たちのためのサイエンス講座を開催。幼年期の素朴な知的好奇心を、科学的な探究や思考へと拡充・進化・伸長させることを目的としており、カリキュラムではプロジェクト型の活動、測定機器や器具の積極的な活用、科学的な学びへの統合性・協同性、家庭学習や図書紹介への継続性などを意識していることを紹介した。

 コロナ禍ではオンラインプログラムも開催。参加した子供の保護者からは、「普段から家で調べものをしたり学習を深めたりするのが好きだが、周囲の友達とはそうした話をすることができていなかった。今回、同じくらいの年の子供たちが研究をするという場に参加できたことで、自分と同じタイプの子供がいることが分かり、心強かったようだ」との声が寄せられたという。

 隅田教授の講演に対し、視聴者からは多くの質問が寄せられた。才能と発達障害を併せ持つ、いわゆる「2E(twice-exceptional)」の子供の対応について問われた隅田教授は、「例えば、(ADHDの)多動と意欲の違いを診断するのは難しく、診断を急がないことを勧めたい。発達に伴って変わってくる部分も多く、行動を見て、何ができるかを考えることが望ましい。苦手な部分に目が行きがちだが、その部分の支援ばかりでは、かなりの苦痛を伴う可能性がある。得意分野を伸ばすこととセットで考えるのが一つのやり方だ」と答えた。

才能教育を専門とする愛媛大学の隅田教授(左)と超教育協会の石戸理事長

 学校での対応については、「特定分野に才能のある子がいた時、どういうところにアクセスすればよいか、リソースのデータ集を作るべきだ」と指摘。さらに、愛媛大学のような探究プログラムは特定分野に才能のある子だけでなく、「全ての子にやってもらいたい。みんなが楽しめるし実りあるプログラムになると思う」と語った。ファシリテーターを務めた同協会の石戸奈々子理事長は「切実な思いが乗った質問が多く、それだけ困っている人が今この瞬間にたくさんいることの裏返しだ」とコメントした。

 特定分野に特異な才能を持つ子供たちに対する指導や支援については、文科省の有識者会議で審議のまとめが進んでおり、今後取り組む具体的な施策として①特異な才能のある児童生徒の理解のための周知・研修の促進②多様な学習の場の整備など③特性などを把握する際のサポート④学校外の機関にアクセスできるようにするための情報集約・提供⑤実証研究――の5つが挙げられている。

 隅田教授はこうした対応について「意識が高く、アンテナを張っている保護者や教育者はすでに実践していることもあるが、特定地域や特定層だけで再生産されてしまうともったいない。公教育に入ることで全国津々浦々、みんなにチャンスや情報が回る」と指摘した。

 また、愛媛大学の免許状更新講習で才能教育を取り上げたことに触れ、「学校の先生からは、『そういえば、こういう(才能のある)子はいました』というエピソードがたくさん出てきた。今まで、そういう子をどうすればよいかに気付けなかったが、視点を持てば変わってくる。いくら才能があっても一人では開花できない。先生も周りの環境も、サポーターになってあげる仕組みができれば」と期待を込めた。

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