小中学校で下校指導など対応追われる 安倍元首相銃撃事件

 安倍晋三元首相が7月8日、参院選の遊説先の奈良市内で銃撃され死亡した事件は、聴衆が見守る中、白昼堂々と発砲されたことが各方面に衝撃を与えている。近くには小中学校や予備校などの教育施設もあり、もしも事件が登下校の時間に重なれば、児童生徒が巻き添えとなっていた可能性がある。学校関係に大きな影響はなかったものの、安全確保の観点から学校によっては一部で大事をとって行事を中止にしたり、下校指導を行ったりした。

銃撃された安倍元首相(資料写真 2019年5月撮影)

 事件は同日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で発生。安倍元首相が演説していたところ、背後から男に銃で撃たれ、病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態だった。突然の発砲事件に、近隣の小中学校では対応に追われた。

 同駅から北西に約1.2キロ離れた奈良市立西大寺北小学校(児童521人)では当時、給食の準備中だった。神谷佳宏校長は「ヘリコプターが何機か飛び回っており、児童は不安げな様子だった」と話す。同日は担任と児童の保護者による個人懇談会が行われる予定で、児童らは午後1時20分に下校予定だったが、安全が確認されるまで教室で待機。神谷校長が事件の発生を全校児童に説明したという。約30分後に安全の確認が取れ、一斉に下校させた。同駅周辺に住む児童については教職員が引率。個人懇談会は中止した。

 同じく同駅から北西に約900メートル離れた奈良市立伏見中学校(生徒611人)の林田晃典校長は「正午から午後1時ころにかけて、多い時は6機ほどのヘリコプターがひっきりなしに飛び続けた。生徒も何が起きたのかと驚いた様子だった」と話す。同校では安全確保のために、下校時に教職員が通学路を巡回した。

 奈良市教委によると、事件当時に同駅付近に児童生徒が外出していた小中学校はなかった。直後に、同駅に隣接する校区の小中学校7校に下校時間の確認を行ったところ、安全が確認される前に下校を開始していた学校はなく、間もなく下校する学校に対しては、安全確認を待つよう指示したという。容疑者が逮捕され、所持していた銃も押収されたとの知らせを受け、それ以降の下校は通常通りとし、集団下校などの要請などは行わなかった。

 今後の児童生徒の精神面のケアについては、市教委としてスクールカウンセラーの派遣など一律の対応を行うことは検討しておらず、担当者は「学校側からの要請があれば、必要に応じて対応したい」と状況に応じて対応していく方針を述べた。

 文科省では、児童生徒が各地で発生する大災害のほか重大な事件や事故にまきこまれた際の対応策「子どもの心のケアのために ―災害や事件・事故発生時を中心に―」を、2010年にまとめている。この中で、災害や事件・事故発生時における子供のストレス症状の特徴として、「恐怖や喪失体験などの心理的ストレスによって、心の症状だけでなく身体の症状も現れやすい」とし、「幼稚園から小学校低学年までは、腹痛、嘔吐(おうと)、食欲不振、頭痛などの身体症状が現れやすく、それら以外にも興奮、混乱などの情緒不安定や、行動上の異変などの症状が出現しやすい。小学校の高学年以降(中学校、高等学校を含む)になると、身体症状とともに、元気がなくなって引きこもりがちになる(うつ状態)、ささいなことで驚く、夜間に何度も目覚めるなどの症状が目立つようになる」としている。

 その上で、子供が示す心身のサインを見過ごさないようにすることが重要で、ストレス症状を示す子供に対しては、普段と変わらない接し方を基本とし、本人に安心感を与えるようにして、なるべくいつもと変わりない環境で安心して学校生活が送れるようにすることなどが必要としている。

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