「通級指導」3万人増、教員確保になお課題 文科省調査

 各教科等の授業は通常の学級で行いつつ、障害に応じて特別な指導が受けられる「通級による指導」について、文科省は7月11日 、2020年度に実施した指導実施状況調査の結果を公表した。通級による指導を受ける児童生徒の数は16万4693人で、前年度に比べ、約3万人増加した。高校では、通級による指導が必要と判断された生徒のうち、6人に1人が教員を確保できなかったために通級指導を受けられなかったことも分かった。同省の担当者は「通級指導に対する理解が深まってきている」とする一方、「人員配置の仕組みを整え終えたとはいいがたい」と述べ、引き続き教員の確保に取り組む必要があるとの認識を示した。

学校種別の通級による指導を受けている児童生徒数

 調査は国公私立の小中学校、高校を対象に行われた。これまでは同年度の5月1日現在の人数を調査していたが、年度途中で通級指導を受け始めた児童生徒も拾い上げるため、今回は年度最終日の3月31日までの通年調査に変更した。調査結果によると、通級による指導を受ける児童生徒の数は小学校で14万255人(前年度比2万3622人増)、中学校で2万3142人(同6377人増)、高校で1296人(同509人増)と小中高全てで増加した。通級による指導については、17年度に義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)が一部改正され、教職員の定数が「指導を受ける生徒児童の13分の1」に定められた。文科省の担当者は「通級による理解が深まり、環境整備が進みつつあることが、数字の伸びにつながっている」(初等中等教育局特別支援教育課)とした。

 実施形態をみてみると、小中高の合計で、在籍する学校で指導を受ける「自校通級」が64.4%(10万6022人)。他の学校に設置されている通級で指導を受ける「他校通級」が28.1%(4万6287人)。担当教員が該当する児童生徒の学校に赴き、場合によっては複数の学校にまたがる「巡回学級」が7.5%(1万2384人)だった。直近で実施形態を調べた17年度の調査に比べて、自校通級が10.0ポイント(17年度54.4%)増加し、他校通級は12.1ポイント(同40.2%)減少した。文科省は児童生徒の心理的負担、保護者の送迎などの点から、自校通級を推進しており、改善が進んでいる状況が読み取れる。

 一方で、18年度から制度化された高校に関しては、「通級による指導」が必要と判断した生徒の数が2396人いるのに対し、実際に受けている生徒の数は1296人と半数程度にとどまっていることが分かった。通級指導を受けなかった生徒1100人のうち、449人(40.8%)は「本人や保護者が希望しなかったため」だったが、181人(16.5%)は自校で担当教員が確保できず、他校や巡回による通級も手配できなかったためだった。担当者は「人員配置の仕組みを整え終えたとはいいがたい。数字を真摯に受け止めて、引き続き頑張らなければいけない部分」と、通級指導に必要な教員の確保に取り組む考えを示した。

 また、21年度の学校基本調査によると、特別支援学級を卒業し進学する生徒は1万4765人と、通級による指導が必要と判断した生徒の数に比べて1万人以上の開きがあった。担当者は「発達障害などは年齢を重ねるに連れて困難を解消するケースもみられる」とする一方で、「中学から高校に進学するにあたって、管轄が市町村教委から県教委に移るケースが多い。生徒の情報が中学から高校に浸透しきっていない」とし、「学校だけの問題にするのではなく、それぞれの教育委員会が介在し、情報共有の意義を説明する必要がある」と述べた。

0 コメント
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る

あなたへのお薦め

 
特集