「こどもの育ち」基本指針の議論スタート 有識者懇談会

 内閣官房こども家庭庁設立準備室は7月12日、「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会の初会合をオンラインを交えて開いた。こども家庭庁設置法で同庁は「小学校就学前のこどもの健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前のこどものある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること」を所掌することとされており、全ての就学前の子供の育ちに係る基本的な指針を新たに策定し、これに基づき政府内の取り組みを主導する役割を担っている。これを受け、こども家庭庁が発足する2023年4月以降、速やかに指針の策定を進められるように、有識者懇談会ではさまざまな角度から就学前教育・保育の内容や家庭における子育て支援、児童虐待の予防、施設と家庭・地域との連携強化、未就園児の支援などについて検討・整理する。

オンラインを交えて行われた「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会

 委員は、秋田喜代美・学習院大学文学部教育学科教授(東京大学名誉教授)▽秋山千枝子・あきやま子どもクリニック院長▽安達久美子・東京都立大学健康福祉学部看護学科教授▽稲葉佳恵氏(タレント・俳優)▽大豆生田啓友・玉川大学教育学部乳幼児発達学科教授▽奥山千鶴子・NPO法人子育てひろば全国連絡会理事長▽柿沼平太郎・学校法人柿沼学園理事長▽加藤篤彦・武蔵野東第一・第二幼稚園園長▽高祖常子・認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事▽坂﨑隆浩・社会福祉法人清隆厚生会こども園ひがしどおり理事長▽堀江敦子・スリール株式会社代表取締役▽水野達朗・大阪府大東市教育長▽明和政子・京都大学大学院教育学研究科教授▽吉田大樹・NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事。

 座長には秋田学習院大学教授、座長代理には大豆生田玉川大学教授が就任した。

 議論に先立ち、各委員から日頃の活動をもとに、子供や保護者支援などについて発言。その中では、障害児の普通級での登校、親同士の交流が同時に子供同士の育ち合いにつながったこと、教育委員会による小学1年生の全戸訪問、家庭にも学校にも居場所のない子供たちへの地域ぐるみでの支援、実際の子育てでの将来的な孤立化を防ぐため学生の間での子育て体験――などそれぞれの現場での実践報告が相次いだ。

 秋田座長はこの日の締めくくりで「今回、こども家庭庁とともにこども基本法という、子供の権利を子供の視点から保障していくという法案が成立したことをうれしく思う。子供は学び育つ権利があり、保護されるべき存在ではあるけれども、養護と教育の質の高い一体的な展開によって、自分の可能性というものを開いていくことで、子供自身が自分の意見を表明できる、そして周りの大人たちや社会がその声を聞くという関係の大切さを基本法は示している」。

 さらに「子供、子育て支援の制度だけではなく、全ての乳幼児の保育教育施設の質がより一層高くなるということや、地域の中でそうした園が1つの子育て支援のハブになっていく、というようなことは、極めて重要であると認識している。園に通っている保護者の支援だけではなくて、そうではない保護者の方たちともお互いに支援したりされたりできる関係が大事だ」などと述べた。

 渡辺由美子こども家庭庁設立準備室長も「全ての子供の健やかな育ちを保証するため、子供の育ちを支える全ての大人が共有すべき内容とはどうあるべきかがポイント。子供がどこで育とうと、あるいは障害や病気を持っていようと、全ての子供の育ちを子供の視点に立ってどうやって考えるかということが、こども家庭庁のミッションの1丁目1番地であるので、そういう視点からご議論いただきたい」と次回以降の本格議論に期待を寄せた。

 次回は9月中の開催を予定している。

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