「通級指導」受ける基準や内容に地域差 検討会議で指摘

 通級による指導を受ける児童生徒の数が年々増えている中、文科省の「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」は7月12日、第2回会合を開き、通級による指導の課題について議論した。通級による指導を受けるための基準や指導内容に地域差があることが、複数の委員から指摘された。

オンラインで行われた第2回会合

 野口晃菜委員(一般社団法人UNIVA理事)は「いろいろな自治体に関わっているが、地域によって、通級の運用にかなりの差がある。特別支援学級を多く設置している地域では通級の対象者が少なく、設置していない地域では多い。指導時間数や指導の期間にもかなり違いがある。通級による指導が週1~2単位時間しかできない体制になっているために、特別支援学級しかない、という判断をしていることもある。本来は子供の実態に合わせて決めるべきところ、自治体のルールや環境、体制によって決められている」と課題を指摘した。

 また梅田真理委員(宮城学院女子大学教育学部教授)は、全国の教育委員会への実態調査を行ったことに触れ、「指定都市のような大きな自治体では、教育委員会の体制がかなりしっかりしていて、特別支援教育の担当指導主事も複数人いる。そこでは通級についてのガイドラインがあり、通級による指導、特別支援学級、通常の学級のどれが適しているか判断をしている。一方で小さな市町では、そもそも指導主事や特別支援教育担当指導主事がいないところもあり、担当者間で相談して適・不適を検討しており、判断が非常に難しいという回答もあった」と指摘した。

 笹森洋樹委員(国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センター上席総括研究員兼センター長)は「地域によってはクラス全体の人数が5~6人ほど、または複式学級になっているところもある。そこに発達障害の子供がいても、丁寧に一人一人に手当てをすることで、同じADHDでも通級が必要でなくなるケースがある。地域によっては障害種の看板は外し、困難さやニーズで通級の必要性を判断していることもある」と、学校現場でさまざまな判断が求められる現状を説明した。

 文科省の担当者は「ある程度のばらつきは想定しているが、通級が定着している自治体と、していない自治体の差は大きいと感じている。通級による指導を受ける子供の数がすごく伸びている一方で、通級の制度を理解して教えられる、専門性のある先生が十分に育っていないことが、指導の中身の問題につながっている可能性もある」と応じた。

 同省の調査によれば、2020年度中に通級による指導を受けた児童生徒の数は16万4693人で、小中学校、高校とも過去最多を更新している。通級による指導を受けている児童生徒の約9割は週1~2単位時間で実施している。

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