全校で教育漫才大会 温かい笑いに包まれた埼玉県越谷市立新方小

 埼玉県越谷市立新方小学校(田畑栄一校長、児童193人)でこのほど、「第1回教育漫才N-1グランプリ」が開催された。1年生から6年生の全22組の代表コンビやトリオが、全校児童と教職員、一部の保護者らの前で漫才を披露し、体育館は温かい笑いで包まれた。発表した子どもたちは「みんなが笑ってくれてうれしかった」「練習よりもうまく表現できた」と達成感に溢れた様子。田畑校長は「コロナ禍で子どもたちとつくり上げる文化というものがなかった。学校全体で教育漫才に取り組み、こうした一体感が生まれたことは本当にうれしい」と話した。

 「教育漫才」は、田畑校長が2013年度から5年間、校長として赴任していた越谷市立東越谷小学校で行なっていた実践。子どもたちの人間関係を円滑にすることを目的とし、吉本興業の協力も得ながら作り上げていった独自の取り組みだ。田畑校長は「これからは予測不可能な時代。自分の思いや考えを言葉で伝えられる子どもを育てたい」と取り組む意義を説明する。

 新方小学校では、2年前から教育漫才に取り組んでいる。当時の6年生で、クラスの「お笑い係」をやっていた児童から「やってみたい」と声が上がり、総合的な学習の時間を使って取り組みがスタート。昨年度は「表現」をテーマに3年生から6年生が総合的な学習の時間で、今年度からは1、2年生も生活科の授業で取り組むようになった。

低学年の児童も堂々と漫才を披露していた

 今回のグランプリ大会に向けて、6月から1、2年生は混合で、3年生以上は学年ごとにコンビやトリオをくじ引きで決め、漫才の基本である三段落ちなどについて学ぶなどしながら、ネタ作りや練習に励んできた。大会の前週には子どもたちが審査員となり、各クラスで代表を決定。その後も大会までの期間、試行錯誤しながらネタや表現方法をブラッシュアップしてきた。

 子どもたちの様子について、4年生の担任の青木友紀教諭は「代表に選ばれなかった子たちもそこで終わりではなく、代表になった子たちのネタがもっと面白くなるようにアドバイスするなど、クラスに一体感が生まれていた」と振り返る。田畑校長も「人の意見も取り入れながら修正していく姿が素晴らしかった」と目を細める。

 グランプリ大会では司会進行役にお笑い芸人のシギザクが登場し、会場を盛り上げた。また、審査は構成作家の金井夏生氏が務めた。前半は、まず1、2年生のコンビやトリオが6組登場。見事な三段落ちで会場の爆笑を誘ったコンビや、独特のゆったりとしたトーンで笑いを生んだトリオなど、それぞれが堂々と自信を持って漫才を披露していた。

 続いて登場した3年生の代表コンビやトリオの4組も、三段落ちを基本にストーリー性のある漫才に挑戦。田畑校長は「三段落ちよりも、もっと難しいことにチャレンジしたいという現れだ」と評価。多彩な動きや効果音も取り入れた漫才ネタに会場が沸いていた。

ネタに合わせた衣装にするなど創意工夫の光る高学年コンビ

 大会の後半には、4年生から6年生の代表12組が登場。さらに複雑な構成のネタにも果敢に挑戦していた。例えば「かぶせ」と言われる漫才の技術を取り入れたり、クイズを出して観客を巻き込んだり、プログラミングをネタに盛り込むなど、それぞれのコンビやトリオの個性が光っていた。

 発表後の子どもたちは、「みんなが笑ってくれてうれしかった」「やり切った達成感がある」「頑張れてよかった。もう一回やりたい」「練習よりも一番良くできた。ちゃんと表現できたと思う」「他の人の漫才を見ていても本当に楽しかった」と高揚した様子で感想を述べていた。

 審査を務めた金井氏は「漫才は、やる方も大変だが、見る方が盛り上げてくれて、一緒に笑いをつくっていくもの。代表の子どもたちの漫才をやる姿勢はもちろんのこと、観客の子どもたちの見る姿勢もとてもよかった」と評価。「人前で発表するのは勇気がいるし、難しさも味わったと思う。大人になるにつれて自分の意見を言う機会が増えるので、こうしたことをきっかけに、どんどん意見を言える子になっていってほしい」とエールを送った。

 6月から子どもたちの取り組みを見守ってきた須藤隼太教諭は「1、2年生はよく笑ってくれるので、全体の空気がより温かくなった。全学年で取り組めて良かった」と安堵の表情を見せ、青木教諭も「大人とは違う、子どもたちの発想力にいつも驚かされていた。やっぱり笑いは温かい。温かい学級づくりにつながったと思う」と手応えを述べた。

 今後は11月に異学年のコンビやトリオで教育漫才に取り組む予定だ。同校では普段からさまざまな授業や活動で異学年交流を取り入れており、田畑校長は「教員らも異学年の良さを実感している。教育漫才も異学年で取り組むことで新たな化学反応が起きるのではないか」と期待する。

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