【揺れる教員志望学生】生涯教員27% 長時間労働と保護者に不安

 教員不足や学校の働き方改革が大きな課題となる中、教員を目指す学生たちが考えていることを探るため、教育新聞は6月30日から7月6日にかけて、教職課程を履修する学生を対象としたオンラインアンケートを実施し、158件の有効回答を得た。教員免許を取得した後に希望するキャリアとして「生涯教員として働く」と答えた学生は27.2%おり、「当面教員として働く」(35.4%)と合わせて6割超が、教員として長く働くことを希望。一方で、働く上での不安は「勤務時間の長さ」「保護者対応の難しさ」「休日の取りにくさ」などが上位に上がり、そうした不安の軽減には、ベテランの教員などと話す機会を持つほか、労働環境の改善が実際に進んでいることを実感する必要があると訴える声もあった。

「特に不安はない」と回答した人は皆無
教員の仕事のイメージ

 教員志望の学生を対象とした今回のアンケートで、教員の仕事に対するイメージを尋ねると、トップは「忙しい」で、91.1%もの学生が選択。次いで「苦労が多い」(84.2%)、「やりがいがある」(77.8%)だった。一方で選択した人が少なかったのは「給与が高い」(8.2%)、「人気がある」(3.2%)。他にも「働き方改革が進まない」「旧態依然の体質」などと記した人もいた。

教員免許取得後に希望するキャリア

 教員免許の取得後に希望するキャリアについて尋ねると、「教員になり、生涯教員として働く」が27.2%を占め、「教員になり、当面は教員として働く」(35.4%)と合わせて6割超が、中長期にわたり教員としてのキャリア形成を望んでいた。また、大学院進学後に教員を希望する割合は10.1%、いったん別の仕事に就くが5年以内に教員になると答えた割合は3.2%だった。

 一方で8.9%は、別の仕事に就き、当面は別の仕事をすると回答。いったん教員になるが、5年以内に転職すると回答した人も3.2%いた。教員の他に検討している、またはしたことがある就職先としては民間企業(教育関係)が46.2%とトップ。次いで公務員が33.5%、民間企業(教育関係以外)が32.3%となり、進学・留学も32.9%だった。

教員になることへの不安

 教員になることへの不安について尋ねると、「特に不安はない」と答えた人はいなかった。最も割合が高かったのは「勤務時間の長さ」で、77.8%が不安だと回答。それから「保護者対応の難しさ」(73.4%)、「休日の取りにくさ」(67.7%)が続いた。

 他にも「自分の性格に合っているか分からない」「キャリア選択の幅が大きく狭まること」「ライフ・ワークのバランス(結婚し、子供ができたとしても自分の子供を犠牲にしそう)」「将来的に教員の負担が減らず、同じ給料で業務量が増えていくと考えられること」「臨時採用や非常勤講師として働くことになった場合に、次年度も正規採用されない悪循環にはまる恐怖」といった回答もあった。

改善を実感しなければ、不安は軽減されない
不安の軽減のために必要だと思う機会

 そうした不安を軽減するためにどんな機会がもっと必要かを尋ねると、最も多かったのは「ベテランの教員と話す機会」で55.1%。それから「国や自治体の担当者と話す機会」(46.2%)、「若手の教員と話す機会」「教員の仕事を体験する機会」(42.3%)、「多くの学校を見学する機会」(39.1%)が続いた。

 一方、こうした機会の提供だけでは軽減されないと考える学生もおり、「具体的な政策が国から出され、それが実現できていると感じられれば安心できる。話を聞いても不安になるばかりだと考える」「労働環境改善のための十分な政策(教員の魅力広報では軽減されない)」「自治体や国が積極的に改善を行っている様子をニュースや新聞で見た上で、現場で働く若手の教員に実態を聞くこと」など、職場環境の改善が実際に進んでいると実感することが必要だと訴える声もあった。また「社会で学校が抱える課題が認知されること」という意見もあった。

 こうした学生たちが教員の仕事に関する情報を得ているのは「所属大学等の教職員」(75.9%)が最多だが、次いで「ツイッター」(73.4%)が挙がり、少なからず影響を与えていることがうかがえた。それから「現役の教員・管理職」(70.9%)、「教員・管理職の経験者」(44.3%)といった学校現場の当事者、「新聞」(41.8%)、「公的機関」(39.2%)、「書籍・雑誌」(36.7%)が続いた。同じSNSでも「ユーチューブ」は31.6%、「フェイスブック」は8.2%にとどまった。

(秦さわみ)

 今回のウェブアンケートは今年6月30日~7月6日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、対象者「教職課程を履修する学生」に該当すると回答した158件を有効回答として集計した。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

【性別】
男性44.9%、女性53.8%、その他・答えたくない1.3%

【居住地域】
北海道3.8%、東北8.2%、北関東5.1%、東京都内13.3%、南関東22.2%、甲信越1.9%、北陸0.6%、東海8.9%、近畿9.0%、中国4.4%、四国3.8%、九州・沖縄8.9%

【所属】
大学(教員養成系学部)49.4%、大学(その他の学部)36.1%、短期大学0.6%、大学院(教職大学院)3.2%、大学院(その他の研究科・専攻)7.0%、その他の教職課程(通信制大学など)3.7%

【課程・学年】
学部1年5.1%、学部2年12.7%、学部3年22.8%、学部4年45.6%、学部5年以上1.3%、修士課程10.1%、博士課程0.6%、その他1.8%

【取得予定の免許状(複数回答)】
幼稚園7.0%、小学校50.0%、中学校77.8%、高校74.7%、特別支援学校9.5%、栄養教諭0.6%、養護教諭1.9%、その他0.6%

※数値は小数点以下第2位を四捨五入しており、合計値が100%にならない場合がある

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