「改革進める」 金田淳日本PTA全国協議会新会長に聞く

 PTAの全国組織「日本PTA全国協議会(日P)」の新会長にこのほど、前専務理事の金田淳氏が就任した。日Pを巡っては東京都小学校PTA協議会(都小P)が先日、退会を決めたばかりで、一時は京都市PTA連絡協議会も退会を検討するなどの動きがあった。こういった退会問題に加え、学校PTAでは保護者らの積極的でない活動参加も長い間の懸案としてある。このような中、日Pは新体制でどのような改革を進めていくのか。金田新会長に聞いた。

――会長としての抱負は。

 最初に申し上げたいのは、日Pというのは、PTAの上に立つ上部組織、上位団体ではないということです。全国のPTAに何かこうしなさいと指示しているというようなイメージを持たれるかもしれませんが、基本は全国のPTAの下支えです。逆ピラミッド構造なんですね。それぞれのPTAをつなぐ情報連絡機関だというのが実態です。ですので、「日Pがあって良かったな」と皆さんに思っていただける組織になるよう努力していきたいと思っています。

「発信力強化を第一に」と話す金田淳会長

 ただ皆さんに私たちのやっていることがしっかりと伝わっているかというと、そこが弱いと考えています。そこで今年は発信力の強化を大きなテーマにしています。具体的には今年から日Pの広報誌の発行を年2回から3回に増やしました。発刊のスピードをアップするとともに、大幅にリニューアルして私たち日Pの動きを迅速に分かりやすく伝えるようにしました。同時にホームページも6月にリニューアルしました。徐々にブラッシュアップしていきたいと考えています。

――どのように日Pを改革していきますか。

 新体制のスタートにあたって今挙げた「発信力の強化」のほか、「情報連絡機関としての役割強化」「PTAを取り巻く課題の検討」「組織の透明化」「外部有識者等からの助言や提言」「800万人のPTA会員の皆さまから意見を集約するシステムを構築する」「ブロック会長会や各協議会との連携を強化する」「文科省や関係団体の取り組んでいる施策等について、分かりやすくPTAの皆さまに知ってもらう」「次年度、こども家庭庁との連携を強化する」「必要とされる日本PTAを目指す」といった改革案を示しました。

 このうち「外部有識者等からの助言や提言」については、日本PTA審議会という特別委員会を今年度設置しました。PTAのOBや有識者といった外部の方にも入っていただき、客観的に日Pの活動を見て審議し、提言をいただこうというものです。さらに「意見を集約するシステムを構築する」ですが、800万人の会員から意見を聞きたいものの、さすがに規模が大きいので、何か方法がないか模索しています。日Pとしての強みはこの規模の会員がいることなので、64協議会の話を聞くだけでなく、今後は直接現場に近い話を聞ける仕組みを作っていきたいと考えています。

 また2023年4月に発足するこども家庭庁については、PTAとの連携は、絶対に必要なことだと考えています。同庁が立ち上がる前からPTAの存在をアピールしていきたいと思っています。このほかには会長の直属の諮問会議ではキャラバン事業を今年度から行います。これは全国のブロック会長会や協議会にこちらから出向いて直接、情報や意見の交換を行う仕組みです。私たちから出掛けることで、より率直なやりとりができるのではないかと期待しています。

――都小Pが退会することになりましたが。

 これまで私たちも都小Pを支援させていただいていたので、一言で言えば残念で仕方がないです。しかも、ちょうど私たちが今お話ししたような新体制での改革案を打ち出したところでした。日Pのいいところは、九州から北海道までの情報が集まり、それをみんなで共有できるということです。都小Pさんが抱える問題の答えが他の都市にあるかもしれない。そういったことを知る機会が減るというのは、本当に残念だという思いです。

 これまでも協議会代表者会やブロック協議会会長会というのが年に数回あり、その時々で意見をいただいて議論されていたはずですが、今まで以上に皆さんの声を聞き、フィードバックに努めます。そのためにも改革を進めていきたいと思います。
 この間、コロナ禍でオンラインでの会議が増え、お互いの主張のニュアンスがうまく伝わらないことがあったかもしれません。今年はコロナの広がり次第ですが、対面での会議を重視しながら運営していきたいと思っています。

――今、学校PTAへの参加に積極的でない保護者が増えています。

 一つ言いたいのは、公平を誤解しているPTAさんが多いのではということです。例えば、奉仕作業を全員でやりますよという時に、全員来ることが公平だと思っている人が多いように思います。家庭ごとに状況は違いますよね。本当は作業に行きたいけれど、仕事や小さい子の世話で来られない人がいます。それでも一律にみんなでやりましょうというのは無理があって、それぞれの都合に合わせていいのではないでしょうか。来られない人は来られる時間でまた別のことをしていただいてでいい。それが公平だと思います。それぞれがやれることをやっていこうということですね。単にみんなが同じことをやることが公平ではないと思っています。

 ただ、コロナをきっかけとしてPTAの活動内容自体を見直そうとしているところが非常に多くなっています。これは、とてもいいことだと思っており、やはり必要なことは必要だし、必要ないものは必要ない。ここで日Pや地方の連合会の役割があります。横の連携があると、隣の学校は、隣の地区はこうやっているよ、こうやったらうまくいったよ、と情報が集まってきます。それを自分のところだけでやっていたら、いつまでたっても変わりません。確かに長く続いた活動内容を変えるのは難しいことですが、結局は子供たちのためなんだというところを忘れないようにしていただきたいと思っています。

【プロフィール】

金田淳(かねだ・あつし) 1972年、栃木県宇都宮市生まれ。同市内のパン製造販売会社代表。子供の小中学校などでPTA会長を務め、2020年に日P理事、21年に同専務理事、22年から同会長。

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