デジタル教科書、優先して導入すべき教科など議論 中教審WG

 デジタル教科書などを活用した、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実について検討している中教審の「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ(WG)」は7月19日、第4回会合を開き、2024年度のデジタル教科書の本格導入に向けた議論を行った。文科省からは今年度行っているデジタル教科書導入の実証事業について、教員を対象とした中間アンケートの結果を報告。委員からは英語や算数・数学など優先して導入すべき教科や、紙の教科書・デジタル教材との併用の在り方について、さまざまな意見が出された。

オンラインで行われた会合を進行する堀田龍也座長(東北大学大学院情報科学研究科教授・東京学芸大学大学院教育学研究科教授)

 文科省はこの日の会合で、今年度の「学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」で、デジタル教科書を導入している教員を対象とした中間アンケートの結果を報告した。調査期間は5月下旬~6月中旬で、有効回答数2082件。普段の1週間のうち、教室の授業で学習者用デジタル教科書をどのくらい使用しているかを尋ねたところ、「週に60分より長い」は17.7%、「週に31~60分」は16.9%、「週に1~30分」は16.5%にとどまり、最も多いのは「使わない週もある」で49.0%に上った。

 使用時間が「週に60分より長い」と回答した割合は、昨年度までにデジタル教科書の使用経験がある教員で高く、一方で「使わない週もある」と答えた割合は、今年度初めて使用する教員で高かった。また、主体的な学び、対話的な学びができていると回答した割合は、いずれもデジタル教科書の使用頻度が高くなるほど高くなっていた。

 デジタル教科書をあまり活用しない理由や困った点としては、「学習者用のデジタル教科書を活用した教科指導方法が分からない」など指導方法・活用方法、「学校のネットワーク環境などのデジタル教科書を利用するための環境が整っていない」など利用環境、「授業準備の時間など負担が大きい」など教員の負担に関する回答があった。

 一方、よく使用する理由や便利な点については、「自分のペースで分からないところを学習できる」など個別学習での利用や、「意見の共有が容易にできる」など共有の容易さ、「生徒の興味関心を引くことができる」など興味関心の向上、「簡単に書いたり消したり上書きすることができるので便利だと感じるし、消しゴムで何度も消すなどのストレスも少ない」など機能の利便性、「教材の準備時間が大幅に減った」など教師の負担軽減が挙げられた。

 これに対し、水谷年孝委員(愛知県春日井市立高森台中学校長)は「この結果は、デジタル教科書のことだけを反映しているのではなく、GIGAスクール環境でのICT活用の経験の差を示している。とにかくICTを使いやすい環境にすることが大事」とコメントした。

 こうした背景も踏まえ、今回の会合では「どの教科・学年から段階的に導入すべきか」「紙の教科書とデジタル教科書の在り方はどうあるべきか」といった議論が行われた。文科省からは、今年度の実証事業では4技能の観点から全ての公立小中学校を対象に「英語」を配布したこと、自治体などからの要望が多いのは「算数・数学」であることが報告された。

 執行純子委員(東京都太田区立入新井第一小学校長)は「英語については使用頻度も高く、効果も期待できることから、全面的に導入していくことを考えてよい。自治体の要望の多い算数・数学については、低学年からでも効果が期待できる」と指摘。中川一史委員(放送大学教養学部教授)は「英語、算数・数学は妥当。国語の優先順位も高くしておく必要がある。国語は特に時間数の多い科目であり、全国で早い段階で入れる意味もある」と述べた。

 一方、渡辺弘司委員(日本学校保健会副会長・日本医師会常任理事)は「デジタル教科書を一度に入れるよりも、紙媒体とどう組み合わせるのがよいか、効果判定をしながら広げていくのがよいのではないか」と強調。また高橋純委員(東京学芸大学教育学部教授)は「どの教科に入れるかは、技術や予算の面で制約を受けることになる。いずれにしてもしばらくの間は、デジタルと紙を併用すべきではないか」と述べた。

 また、デジタル教科書だけでなく教材に対しても、導入費用の国庫負担を求める声が複数の委員から挙がった。「デジタル教材は検定対象外で、使用するもしないも自治体判断ということになると、財政が厳しい自治体では使用できないという環境も生まれる」(執行委員)、「デジタル教材は、個々の子供の多様な選択肢にもつながる。デジタル教科書と教材の制度上の違いはあるが、実際に使う側からすると、教科書の一部であると理解されているにもかかわらず、デジタル教材の恩恵を受けられる自治体・学校とそうでない自治体・学校が出てくるのはいかがなものか」(中川委員)といった指摘があった。

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