【揺れる教員志望学生】 恩師への憧れが志望のきっかけに

 教員不足や学校の働き方改革が大きな課題となる中、教員を目指す学生たちが考えていることを探るため、教育新聞は6月30日から7月6日にかけて、教職課程を履修する学生を対象としたオンラインアンケートを実施し、158件の有効回答を得た。学生たちが教職課程を履修したきっかけを自由回答で尋ねたところ、子供の頃に出会った教員に憧れたという声が多数寄せられたほか、子供たちの成長に関わり、その後の人生に大きな影響を与える仕事に魅力を感じたという声が聞かれた。また教職の魅力も尋ねると、子供たちの成長に関われるなど、子供に関する内容が大半を占めた。

出会った恩師が教員志望のきっかけに

 教職課程を取ろうと思ったきっかけについて、寄せられた自由回答(任意)は128件だった。その内容を大まかに分類すると、自身が児童生徒として出会った教員がきっかけで、教員を目指したという内容が36件と最も多く、次いで、教員という仕事に魅力を感じたという内容が28件、子供や学校への思いから教員を目指したという内容が15件だった。

教育新聞のオンラインアンケートに寄せられた「教職課程を履修した理由」

 出会った教員に影響を受けたという学生は「小6の時に出会った先生に憧れ、熱意と優しさを持ち、共に学び続ける教師になりたいと思ったから」(北関東/学部2年)、「中学校の時の担任の先生の姿を見て憧れを持ったため」(東海/学部4年)、「高校の恩師に人として成長させてもらえて、自分も教員になり生徒に良い影響を与えたいと思い、教職課程を取ろうと思った」(東北/学部4年)などと回答。小学校、中学校、高校のいずれの段階でも、教員を目指すきっかけとなる「恩師」に出会っていることがうかがえる。

 他にも「教師の影響で人生が良い方向にも悪い方向にも影響された経験から、良い経験を与えられる教師に憧れたため」(南関東/学部3年)という声や、「小学校の頃から担任の先生に憧れ、それが中高でも変わらなかったため、教員志望として大学に進学した。より専門性の高い教育がしたかったため、高校の担任の先生と相談し、学部は教育学とは異なるものにしたが、教員免許を取得することが、大学に進学する目的のうちかなりのウエートを占めていた」(近畿/学部3年)という人も。

 一方で、「中学生の時、どうしても学校が好きになれなかった。教員は学校で成功してきた人しかいないから自分の気持ちが分からないと思い、学校が嫌いな先生も必要なのではないかと考えた」(東北/学部4年)、「尊敬する先生に出会えたことと、自分の受けた教育に違和感を抱いたことがきっかけ」(南関東/学部4年)と、自身が児童生徒として抱いた学校や教員への違和感をきっかけに挙げた学生もいた。

「教えることが好き」「公務員で安定」「親からの勧め」

 教員という仕事に魅力を感じたという学生からは、「誰かに『教える』ことが好きだった。また相手に届けたいことや気付かせたいことを、どう伝えるかを試行錯誤したり、工夫したりすることが楽しいと感じたため」(甲信越/学部4年)、「人に教えることや人前で話すことに抵抗がなかった。一人一人の人生に影響を与える仕事に魅力を感じた」(近畿/学部4年)といった声が寄せられた。

 また「将来子育てなどで社会から1度外れてしまっても、すぐに戻れるポストが欲しかったから。非常勤などの働き方もあるから」(東北/学部2年)、「公務員で安定していると思ったから」(北海道/学部4年)など、教員の雇用形態を魅力と感じる学生や、「高校生の頃から、どの大学のどの学部に入ったとしても、教職は取っておこうと考えていた。当初は教員が一番なりたい職業とは言い切れなかったが、他にやりたいことがなかった」(近畿/学部4年)と回答した学生もいた。

 また、「小学校6年間の子供の成長、発達はとても大きいもので、その姿を身近で支えたいと感じたから」(北海道/学部1年)、「学校嫌いの子供の役に立ちたいと思ったから」(東海/学部4年)、「子供たちの成長に携われる仕事を行いたいと思ったから」(近畿/学部3年)、「学校の授業、制度に疑問を持ち、変えていきたいと感じたから」(九州・沖縄/学部4年)など、学校や子供たちへの思いを記した学生も多かった。

 さらに、教員だった自身の親に影響を受けた、親からの勧めがあったという声も、「両親が教師をしていて、教師という職業に憧れたから」(近畿/学部1年)、「最初は教員免許を持っていなくて後悔しているという親からの勧めで。もともと教職に興味はあったので取り始めた」(近畿/学部2年)など10件あった。

教職の魅力、「子供の成長」が圧倒的

 アンケートではまた、学生が考える教職の魅力について自由回答(任意)で尋ね、133件の回答を得た。内容を大まかに分類すると、児童生徒の成長に関われるなど「子供」に関する内容が116件と9割近くを占めた。他には、教員の専門性に関わる内容や、多くの人と関われる、雇用が安定しているといった、職業の魅力を挙げる内容が見られた。

 多くの学生が、子供の成長に間近で関わることのできる魅力を挙げた。「子供の成長に立ち会える喜びを感じることができる。2度と同じ瞬間を味わうことが出来ないからこそ、毎日が新鮮な日々である」(南関東/学部4年)、「子供たちが、家にいるのと同じくらい多くの時間を過ごすのが学校で、教師はそんな子供たちを支えて、成長する手助けをできるから。少しでも居心地がいい空間を提供したい」(東海/学部3年)、「自分自身が起こした誰かへの問い掛けやきっかけづくりが、その人の価値観や性格、人生に関わること」(甲信越/学部4年)。「子供と一緒に、自身も成長できる」という声も多くの学生からあった。

 また、教員の専門性を魅力と感じる学生もいた。「学部で学んだことを実際の職務に大いに生かすことができる点。学部からそのまま専門職としてのキャリアを始められ、自分の専門分野を生かした授業計画をすれば存分に学部での学びをそのまま生かせる。大学での学びに魅力を感じた自分にとって、これは教員という仕事のかなり大きな魅力である」(近畿/学部3年)。

 他にも「自分の知識や技量次第で授業を自由に展開できる」(南関東/学部3年)、「授業やクラス経営など、ルールはありながらもアレンジが効くところ」(北関東/学部4年)という声や、「貧困や格差など社会問題に向き合うことができる」(東京都内/学部4年)、「たくさんの人と関わることができる」(九州・沖縄/学部4年)などを挙げる声があった。

(秦さわみ)

 今回のウェブアンケートは今年6月30日~7月6日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、対象者「教職課程を履修する学生」に該当すると回答した158件を有効回答として集計した。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

【性別】
男性44.9%、女性53.8%、その他・答えたくない1.3%

【居住地域】
北海道3.8%、東北8.2%、北関東5.1%、東京都内13.3%、南関東22.2%、甲信越1.9%、北陸0.6%、東海8.9%、近畿9.0%、中国4.4%、四国3.8%、九州・沖縄8.9%

【所属】
大学(教員養成系学部)49.4%、大学(その他の学部)36.1%、短期大学0.6%、大学院(教職大学院)3.2%、大学院(その他の研究科・専攻)7.0%、その他の教職課程(通信制大学など)3.7%

【課程・学年】
学部1年5.1%、学部2年12.7%、学部3年22.8%、学部4年45.6%、学部5年以上1.3%、修士課程10.1%、博士課程0.6%、その他1.8%

【取得予定の免許状(複数回答)】
幼稚園7.0%、小学校50.0%、中学校77.8%、高校74.7%、特別支援学校9.5%、栄養教諭0.6%、養護教諭1.9%、その他0.6%

※数値は小数点以下第2位を四捨五入しており、合計値が100%にならない場合がある

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