生徒指導提要の改訂、最終まとめへ 素案を修正、デジタル版作成も

 生徒指導についてのガイドラインとなる「生徒指導提要」の改訂を議論している文科省の協力者会議は7月22日、第8回会合を開き、修正された素案を検討した。「こども基本法」の理念である「4つの原則」を盛り込み、ICTの利活用、多様な背景のある児童生徒への対応など今日的な課題にも触れており、約12年ぶりの改訂。この日の会議での各委員からの指摘を踏まえ、次回の会議で詰めの議論を行う予定で最終取りまとめを目指す。改訂版では、教員が課題に応じて必要な情報を取り出しやすいよう、デジタル版も作成することにしている。

オンラインを通じて行われた生徒指導提要の改訂に関する協力者会議

 この日示された素案は大きく第Ⅰ部と第Ⅱ部とに分かれた。

 第Ⅰ部は、生徒指導の基本的な進め方として、「生徒指導の基礎」「生徒指導と教育課程」「チーム学校による生徒指導体制」で構成。生徒指導については「社会の中で自分らしく生きることができる存在へと児童生徒が、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことであり、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う」と定義。生徒指導の目的を「児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達と、同時に自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支える」とした。

 生徒指導上の留意点として、日本が1994年に批准した国連の「子どもの権利条約」に基づき、先の国会で成立した「こども基本法」にもある①児童生徒に対するいかなる差別もしない②児童生徒にとって最もよいことを第一に考えること③児童生徒の命や生存、発達が保証されること④児童生徒は自由に自分の意見を表明する権利をもっていること――の4つの原則を理解することの重要性を明記した。

 さらにGIGAスクール構想を受け、ICTを活用した生徒指導を推進することとし、具体的には▽データを用いた生徒指導と学習指導との関連付け▽悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見・対応▽不登校児童生徒の教育機会の確保――などに役立てるとした。

 また小学校では、幼児期における遊びを通した総合的な学びから、各教科における、より自覚的な学びに円滑に移行できるよう、入学当初において、生活科を中心とした合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など、スタートカリキュラムの工夫の必要性を指摘。成年年齢の18歳への引き下げなどを踏まえ、日頃から社会的自立に向け、児童生徒を支えることはもちろん、キャリア教育や適切な進路指導も大切であるとし、必要な場合には就労支援事業所や子供・若者相談機関などにつなぐといった支援を行う必要もあるとしている。

 第Ⅱ部では「個別の課題に関する児童生徒への対応」について詳述。「いじめ」「暴力行為」「少年非行」「児童虐待」「自殺」「中途退学」「不登校」「インターネット・携帯電話に関わる課題」「性に関する課題」「多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導」などトピックごとに、「関連法規・基本方針」「未然防止・早期発見・対応」「学校の組織体制と計画」「関係機関等との連携体制」を盛り込み、それぞれの課題への対応策を求める教員がすぐに十分な情報を得られるよう工夫されている。

 例えば今日的な課題である「インターネット・携帯電話に関わる課題」に対しては、「匿名性、拡散性などの特徴があり、トラブルが起きてしまうと完全に解決することが極めて難しいため、未然防止を含めて、対策を講じるための体制を事前に整えておくことが必要」と指摘。

 また「多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導」では、「発達障害、精神疾患、健康、家庭や生活背景などが直接に学習指導や生徒指導上の課題となる場合に加えて、第Ⅱ部各章で取り上げた課題の背景に、これらの課題が存在する場合も少なくないため、関連する法律や通知なども理解した上で生徒指導に取り組むことが強く求められる。課題が見えにくい場合も多いのでアセスメント(評価・分析)を通じて適確に気づきと対応を行うよう努める必要がある」としている。

 この日の議論では、各委員から項目ごとに記述の追加や語句の修正などの指摘があり、事務局では改めて素案を精査し、最終的な改訂案作成に向け作業を進める。

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