特別支援学級の授業づくり ハマ・アップでオンライン研修

 横浜市の授業改善支援センター「ハマ・アップ」による「自閉症・情緒障害個別支援学級 の授業づくり」をテーマとした講座がこのほど、オンラインで開催された。同市内の学校で特別支援学級を担当する教員や、通常学級において気になる児童生徒がいる教員など、36人が参加し、国語科と音楽科の授業づくりのポイントが解説された。また、「活動の目的意識を持たせるにはどうすればいいか」「複数学年のグループで活動に取り組む難しさがある」など、参加者がそれぞれの学校で抱えている課題や悩みについて、講師の指導主事がアドバイスを送った。

 自閉症・情緒障害個別支援学級での国語科の指導における困難さの例として、講師を務めた同市教委特別支援教育課の佐藤昌生指導主事は「自分の考えを相手に伝えるのが難しい」「活動の見通しが持てない」「その場に応じた適切な言葉の使い方が分からない」などを挙げた。

 具体的な実践例として、小学校2年生国語の「そうだんにのってください」の単元を紹介。この単元では、自分が相談したいことについて話題を決めたり、話し合いの仕方を確かめたり、グループで話し合って良かったことを伝え合ったりする活動が行われる。

 佐藤指導主事は「まず、話題を決める段階で、なかなか考えが出てこない子もいる。これからすることや、悩んでいること、学習のことなど、いろいろな視点から例を出してあげるといい」とアドバイス。

 話し合いのイメージができない子もいるが、その場合、この単元の教科書に付いているQRコードを活用するよう示し、「QRコードを読み込むと、話し合い活動をしている動画につながる。子どもたちもイメージしやすくなり、教員の負担軽減にもなる」と説明した。

 また、「話し合いの場面において、適切な言い方と不適切な言い方の例を、約束として具体的に示すといい。この時、不適切な言葉ばかりを示すケースが多いが、『こんな言い方がいいよね』という、適切な言い方を示してあげることが重要」と助言すると、参加者らも画面越しに大きくうなずいていた。

 この後は演習に入り、参加者が自分の担当している児童生徒を思い浮かべ、「この活動を行う上でどんな困難があるか?」「どんな支援があれば出来るか?」を考えて書き出していった。

 ある教員は「自分が担当している子どもたちだと、この活動はちょっと厳しいかもしれないと感じた。活動の必要性をどうやって持たせたらいいのか、そこが一番難しく、苦心している」と悩みを打ち明けた。

 それに対して佐藤指導主事は「目的意識を持たせるのは難しいが、逆にそこがうまくできると子どもたちも主体的に取り組める。例えば、子どもたちが楽しみにしている行事などを題材にすれば、主体的に取り組めるかもしれない」とアドバイスを送った。

 別の教員は「緘黙ではないが、みんなでの話し合いになると話せなくなる子がいる。グループ編成を考えることも重要だが、話し合いが難しいならば、ロイロノートなどで気持ちを書いてもらう活動を取り入れてみようと考えた」と話した。

 続いて、音楽科の授業づくりについて、講師を務めた外山芳指導主事は「国語や算数は小グループを中心とした一人一人に応じた指導形態が定着しつつあるが、音楽や図工、体育などでは個別支援学級全体で行ったり、低学年と高学年で分けたりするなど、集団でやるケースがまだまだ多い」と指摘。

 「音楽をはじめとした技術教科の授業を低学年から高学年まで一緒にやることが、果たしていいのか。児童生徒の主たる教育課程の狙いを達成するためには、障害の特性による困難さや教育的ニーズを把握し、自立活動の視点を取り入れながら学習することが大切だ」と強調した。

 例えば、自分の考えをまとめたり伝えたりする力が必要な児童生徒には、友達に意見を伝えるために、▽視点を絞る▽分かりやすい言葉で問う▽選択肢から選ぶ――といったワークシートの工夫をしてみることをアドバイスした。

 ある小学校の教員は「音楽の授業で1~4年生まで一緒にやっている。そのうち、3年生の子は当該学年のことをやりたいが、他の学年の子が難しいので、いつも3年生の児童を待たせてしまうことになる」と相談。それに対し、外山指導主事は「その子一人でもできるような工夫をセッティングしておくのはどうか。活動自体はみんなと同じでも、狙いを別にしておけば、可能な場合もある」と答えた。

 同市立仏向小学校の東森清仁主幹教諭は「本校の特別支援学級は児童数が増加している。個に対する支援は、まだまだできていないことも多いが、ワークシートの工夫など、できるところからやっていきたい」と参加した感想を述べた。

 また、初任者の同市立緑園義務教育学校前期課程の鈴木みゆい教諭は「これまで発達段階に合わせた支援や学習をすることが多くなってしまっていたが、生活年齢を意識することも大事だと学んだので、6年生ならば6年生ということも意識して支援していきたいと思った」と話した。

オンラインで講座を配信する佐藤指導主事(右)と外山指導主事(ハマ・アップ提供)

 ハマ・アップでは対面の講座に加えて、昨年度よりオンラインの講座も開設してきた。平日の午後5時半からオンラインで行われたこの日の講座について、参加者からは「オンラインだったので自宅から参加できた」「ハマ・アップが会場だと学校を早く出なければ間に合わないが、オンラインだったので余裕をもって参加できた」「オンラインだが、演習や意見交換の時間もあって充実していた」といった感想が寄せられた。

 佐藤指導主事は「この2年、コロナ禍で研修を十分に受けられていない教員もいる。オンラインでいつでもどこでも研修を受けることができるようになったのは、非常に良いこと」と話す。また、外山指導主事は「経験年数が浅い教員が特別支援学級を受け持つケースもかなり増えてきている」と指摘。「教員として右も左も分からない中で、支援が必要な子を見なくてはいけない。そうした教員に対しても、研修がなるべく負担にならないよう、少しでも多くの学びを提供していきたい」と述べた。

2 コメント
最新
最も古い
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る

あなたへのお薦め

 
特集