「特異な才能」と公教育 有識者会議、校長会にヒアリング

 文科省の「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」は7月25日、第12回会合をオンラインで開き、審議まとめ素案の検討と共に、校長会へのヒアリングを行った。校長会からは、公教育の中で特異な才能のある児童生徒だけに特別な環境を整えることへの違和感や、体制上の困難が伝えられ、これまでの審議の方向性の通り、「特異な才能のある児童生徒を含む全ての子供たちが、多様性を認め合い、高め合える包摂的な学校教育環境の中で、それぞれの資質・能力を伸ばしていく」という全体的な方向性が改めて確認された。

 審議のまとめ素案では、特異な才能のある児童生徒の現状の課題などを踏まえ、今後取り組むべき施策として①特異な才能のある児童生徒の理解のための周知・研修の促進②多様な学習の場の充実など③特性などを把握する際のサポート④学校外の機関にアクセスできるようにするための情報集約・提供⑤実証研究を通じた実践事例の蓄積――を挙げている。

ヒアリングに応じる全連小の荒川元邦対策部長(YouTubeで取材)

 審議のまとめ素案に意見を求められた全国連合小学校長会(全連小)の荒川元邦対策部長は「特異な才能をスクリーニングし、特定の児童のみに才能があるとする判断は学校現場ではできない。2E(Twice-Exceptional)、つまり(才能と発達障害を併せ持つ)二重に特別なタイプの児童への対応は高度な専門性を要求され、対応できる教員がなかなかいない現状だ」とコメントした。

 また全日本中学校長会(全日中)の齊藤正富総務部長は「対象となる児童生徒に特化した研修例は少なく、教員の理解も十分でないことから、発達障害、問題行動、児童生徒の特性などの理解、対応のための研修などを応用して、適切な指導・支援を行うことは容易でない」と指摘。

 全国高等学校長協会(全高長)の杉本悦郎前会長は「支援の取り組みが講じられていない以前に、特異な才能のある児童生徒が見いだされることなく、埋もれてしまう可能性が高いのではないかという危惧を覚える」と意見を述べた。

 これに対し、市川伸一委員(東京大学名誉教授、帝京大学中学校・高等学校校長補佐)は「有識者会議のタイトルに引きずられて、十分に伝わらなかったかもしれないという懸念を持っている。このタイトルを見ると、特別な子供たちを取り出して、その子たちに何をするかという話になりがちだが、実際にはそうではなくて、広く個に応じた教育の一環として、いろいろな興味関心や特徴がある子供たちが、自分に合った何か教育の場を与えられるという、全体的な見通しの中の一環として、どういうことができるかということを考えている」と、校長会の懸念に対し説明を加えた。

 全連小の荒川対策部長は「そのような説明を聞かないと、審議のまとめを読んでも、特異な才能のある子を育てるのだな、という視点で読んでしまう。令和の日本型学校教育として個別最適な学びというものが出ていて、基本的に小学校の教員や校長は意識をしている。教育活動で子供たち一人一人の才能を見いだすために、適正なアプローチをしていくというのは、公教育の大前提だと考えている」と、審議の方向性を確認した。

 全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会の玉野麻衣副会長は「私たちは『特別支援教育の一環だ』とまとめてしまいがちだが、そうではなく、特異な才能を持っているというところで困り感を抱えている子がいるという、教員の視野を少し広げるという意味でも、(有識者会議の審議まとめ)素案は大事な考え方を示しているし、個別最適な学び・協働的な学びの在り方は、こういうところまで広げる必要があるということ、大学や研究機関も含めて外部機関と大胆に連携することで、子供たちの学びが豊かになるということを示している」と評価した。

 文科省は7月中に、今回の審議まとめ素案についてパブリック・コメントを実施する予定。

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