「組織も人材も厳しい」 文化部活動の地域移行で関係団体が意見

 中学校の文化部活動の地域移行に関する文化庁の第6回検討会議が7月25日、オンラインを交えて行われた。これまでの議論を踏まえて修正された提言案について各関係団体から意見を求めたところ、「指導者や利用施設の確保が課題」「国の財政的な支援が必要」などとする声が相次いだ。検討会議ではこの日の議論を基に改めて提言案を修正し、次回提出することにしている。

オンラインも交えて行われた文化部活動の地域移行に関する検討会議(YouTubeの画面から)

 同会議では、運動部活動と同様に2023年度から休日の文化部活動の地域移行を目指している。提言案では、部活動自体が学校を離れるため、受け皿となる実施主体は文化芸術団体などに加え、地域住民や団体からなる「地域学校協働本部」、保護者会、同窓会、複数の学校の文化部が統合して設立する団体など多様な組織・団体を想定。

 活動場所については、公民館などの社会教育施設や劇場、音楽堂などの文化施設のほかに、施設の数を十分に確保するために、学校の音楽室や美術室などの利用も考えられるとした。多様な団体が円滑に学校施設を利用できるよう、教育委員会や文化芸術団体などからなる協議会を設置し、利用ルールの策定などが必要とした。

 指導者については、専門家による合同練習の実施や研修動画を利用する仕組み作りのほか、民間資格を利用するなどして質を担保し、量については文化芸術団体などと連携した人材バンクや、遠隔地の指導者によるICTを活用した合同練習などの事例を国が資料としてまとめ、提供するとともに、各地方自治体で実情を踏まえた受け入れ体制の構築を着実に進めていくことが必要とした。

 地域移行することで新たに発生する会費については、保護者にとって大きな負担とならないよう、地方自治体や国による支援を求めると同時に、保護者の理解も必要としている。困窮する家庭に対しては、家庭の状況に関わらず誰でも文化部活動に親しめる機会を確保するため、地方自治体による費用の補助や企業からの寄付による基金の創設、国の支援などの検討を求めた。

 この日、提言案に対して意見書を提出した全国町村教育長会は、教員の働き方改革を進めるために地域移行は理解できるとした上で、「都市部と異なり、町村では受け皿となる組織も人材も厳しい状況にある」と強調。そのため、「これまでの文化部活動を維持していくためには、引き続き教職員が担当せざるを得ないのが実情」と訴えた。さらに受け皿として考えられる地域の文化芸術団体は、主として高齢者を対象としている活動内容で、中学生にはそぐわない面があると述べた。

 また吹奏楽部について受け皿、指導者、活動場所、財源など各面において地域で支えることは困難とし、学校外で専門性や資質を有する人材がいない場合には地域移行そのものができないのでは、と疑問を投げ掛けた。そのため国や地方自治体による予算措置や、体制整備などの支援が必要としている。

 全日本合唱連盟は、指導者の質の認証や指導状況をどのようにチェック・管理したらよいのかを、提言案で具体的に明示すべきと指摘。全国町村教育長会の主張した受け皿問題にも触れ、「(学校外の)文化芸術団体がどの地域でも存在しているとは限らないので、具体的な対応方針も明記すべき」と要望した。活動場所についても、地域の社会教育施設などは、もともと使用していた団体の使用で埋まっており、新たに部活動として入る余地がないことも想定されるとした。

 また、全国都道府県教育委員会連合会も、地域移行に伴って発生する会費や保険、施設使用料、用具の購入・搬出入などの費用について国の確実な財政措置と、経済的に困窮する家庭に対する国の支援を要望している。

 全国都市教育長協議会は、地域移行は教員の働き方改革が背景にあるとしても、部活動に取り組む生徒が取り残されたり、不利益が生じたりすることのないよう生徒目線の改革を進めるよう要望。このほか、中核市教育長会は地域移行で部活動の運営主体が多様化し、複雑な活動形態となるために、不明確となる責任の所在をはっきりとさせることが必要とした。

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