求人取り消し大幅減も定時制・通信制は内定率低下 高校生の就職

 今年3月に卒業した高校生を対象にした全日本教職員組合(全教)と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の2021年度就職内定実態調査で、コロナ禍の影響で急増した求人取り消しが20年度に比べ、100件以上少なかったことが7月25日、分かった。一方で定時制・通信制の就職内定率は85.5%(20年度87.2%)と、全体の96.5%(同97.3%)より10ポイント以上低かった。同日、文科省で行われた会見で、全教の山田真平中央執行委員は「コロナ禍の影響の下、求人の厳しい状況は続いている」と訴え、雇用の創出、求人確保の政策に加え、丁寧な就職指導を行うための就職支援員の拡充を求めた。

高校生の就職実態について話す全教の山田真平中央執行委員

 調査は3月9~31日に調査用紙を送付する形式で行われ、25都道府県から388校の回答を得た。回答した学校の卒業予定者は5万1289人。就職希望者は1万3583人だった。

 調査結果によると、21年度の求人取り消しは42件で、20年度の145件に比べ100件以上減少した。学校からは、「中小(主に製造)の採用意欲が目立った。スーパー各社は求人数が10人程度と多かった」(富山)、「県内に限れば一昨年の状況に戻ってきている」(和歌山)といった回復傾向の声が寄せられた。一方で、「例年、求人を出していた企業からの求人が途絶えた」(兵庫)、「販売業やホテル業は依然として少ない」(富山)といった声もあった。

高校生の就職内定率はほぼ横ばい

 全体の就職内定率は96.5%(20年度97.3%)。男子が97.1%(同97.9%)、女子が95.0%(同96.0%)と20年度より微減した。定時制・通信制については男子が89.4%(同88.6%)、女子が77.3%(同85.1%)と女子で大きく数字を落とした。波岡知朗中央執行副委員長は「定時制・通信制の卒業生の女子で志望者が多い飲食や販売業の求人が、コロナ禍の影響で回復しきっていないことが要因として考えられる」とし、▽就職未決定者に対する就職支援・相談体制の拡充▽職業教育を充実させ、生徒の職業観・進路観を育むために、教職員の大幅な増員▽企業支援を拡充し、青年や新規学校卒業者の雇用の維持――などを政府に求めた。

 また、20年に文科省と厚労省の検討会議で見直すべきとされた、企業を1社しか応募できない代わりに、ほぼ確実に内定を得られるようにしているという高校生の就職慣行「1人1社制」については、「短期間で就職活動・採用が行われ、生徒の負担軽減や学業保障、企業と学校の信頼関係につながり、定着してきた」とし、見直すべきではないとした。その上で、複数応募制が導入された自治体については、行政の責任で複数応募の影響について実態把握や検証を行うことと、改善を求めた。

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