【揺れる教員志望学生】 「子供たちのため」と私生活の両方重視

 教員不足や学校の働き方改革が大きな課題となる中、教員を目指す学生たちが考えていることを探るため、教育新聞は6月30日から7月6日にかけて、教職課程を履修する学生を対象としたオンラインアンケートを実施し、158件の有効回答を得た。アンケートで、教員の働き方に対する学生たちの価値観を尋ねたところ、「子供たちのために、できることをしたい」という熱意を抱きつつも、同時に「プライベートな時間を大切にしたい」「働いた時間の分だけ対価を得るべきだ」など、合理的な働き方を望む声が多数を占めた。

【図表1】教員の仕事をする上での価値観

 今回のアンケートでは、「子供たちのために、できることをしたい」など、職業観や働き方の希望に関する7項目について、「そう思う」「ややそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」の4段階で、自分の考えに最も近いものを回答してもらった=図表1参照。その結果、肯定的な回答(「そう思う」+「ややそう思う」)の割合が最も高かったのは、「子供たちのために、できることをしたい」で、98.1%と圧倒的多数を占めた。

 その次に多かったのは「プライベートな時間を大切にしたい」で93.7%。うち75.3%もの学生が「そう思う」と断言した。次いで「必ずしも教員が担う必要のない業務は、積極的に外部委託すべきだ」が93.0%、「働いた時間の分だけ対価を得るべきだ」に91.1%と、9割を超える学生の支持が集まった。「勤務時間の長さより、効率を評価すべきだ」も86.1%と高かった。

 意見がやや割れたのは「子供たちのためなら、長時間労働もやむを得ない」という項目。肯定的な意見が59.5%、否定的な意見が40.5%と二分された。ただ「やむを得ない」とした94人のうち、85人(90.4%)は「必ずしも教員が担う必要のない業務は、積極的に外部委託すべきだ」と回答しており、長時間労働を容認するとしても、「子供たちのため」になることに限る、という意識が垣間見える。

 さらに「どちらかといえば給与の総額より、時給換算した額を重視している」も意見が割れ、肯定的な意見が58.9%、否定的な意見が41.4%となった。「時給換算した額を重視する派」は、労働時間と対価のバランスを重視しており、労働時間管理への意識も高い層であると考えられ、同じアンケートで尋ねた教員の働き方の課題(自由回答)において、明確に「給特法の見直し」を訴えた人が6人と、「重視しない派」(1人)より多かった。

【図表2】教員の仕事が「合わない」と感じたらどうするか(自分の考えに近い方を選択)

 子供たちを育てる教育への情熱は抱きつつも、プライベート重視、効率重視の「今時の教員志望学生」。教育新聞のアンケートでは、もし実際に働き始めた後、教員の仕事が「合わない」と感じたらどうするかも尋ねた。職業観や働き方を問う設問ではドライな回答も目立ったが、こちらの設問では意外にも「仕事が自分に合わないと感じても、しばらく続けたい」が67.7%と多数派だった=図表2

 とはいえ、「仕事が自分に合わないと感じたら、すぐに転職したい」派の学生も3割超。教員不足が叫ばれる中、教員志望の学生が実際に教員という職を選び、長きに渡って教育現場で活躍できるようにするためには、まずは学生たちの働き方の希望や価値観を、十分に理解する必要があるのかもしれない。

(秦さわみ)

 今回のウェブアンケートは今年6月30日~7月6日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、対象者「教職課程を履修する学生」に該当すると回答した158件を有効回答として集計した。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

【性別】
男性44.9%、女性53.8%、その他・答えたくない1.3%

【居住地域】
北海道3.8%、東北8.2%、北関東5.1%、東京都内13.3%、南関東22.2%、甲信越1.9%、北陸0.6%、東海8.9%、近畿9.0%、中国4.4%、四国3.8%、九州・沖縄8.9%

【所属】
大学(教員養成系学部)49.4%、大学(その他の学部)36.1%、短期大学0.6%、大学院(教職大学院)3.2%、大学院(その他の研究科・専攻)7.0%、その他の教職課程(通信制大学など)3.7%

【課程・学年】
学部1年5.1%、学部2年12.7%、学部3年22.8%、学部4年45.6%、学部5年以上1.3%、修士課程10.1%、博士課程0.6%、その他1.8%

【取得予定の免許状(複数回答)】
幼稚園7.0%、小学校50.0%、中学校77.8%、高校74.7%、特別支援学校9.5%、栄養教諭0.6%、養護教諭1.9%、その他0.6%

※数値は小数点以下第2位を四捨五入しており、合計値が100%にならない場合がある

1 コメント
最新
最も古い
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る

あなたへのお薦め

 
特集