未来の先生フォーラム開幕 「2030年の学校教育を創造」がテーマ

 日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム2022」(同実行委員会主催、教育新聞社共催)が8月1日、オンラインで始まった。7日までの期間中、計71プログラムが用意されている。初日のこの日は「テクノロジー×個別最適・協働的な学び」をテーマに3講演が行われた。同フォーラムは当日参加も可能で、特設サイトから登録すれば無料で視聴できる。

 「未来の先生フォーラム」(旧・未来の先生展)は、社会の動向を理解し、自ら学び、専門性を向上させたいと願う教師をはじめ、教育業界の関係者が相互に学び合うことを目的に2017年から開始された。学校教育から生涯教育まで多彩な領域の教育について学べることから、毎年延べ3000人が参加している。17~19年まではリアルで、20年からはコロナ禍によりオンラインで開催されている。

 今年は「2030年の学校教育を創造する」というテーマを掲げ、未来の学校教育をさまざまな切り口で考えるプログラムを用意。全国の教育界をリードする関係者の参加により、日々のより良い取り組みを積み重ねるきっかけになる学びや気付き、出会いを創出することを目指している。

 初日は招待講演として「個別最適・協働的な学びの可能性と今後の課題」をテーマに上智大学総合人間科学部の奈須正裕教授、「AI時代の学習を考える~成績向上にAIをどう使うか~」をテーマにモノグサ㈱の竹内孝太朗代表取締役CEO、「個別最適な学び・協働的な学び-テクノロジーの可能性」をテーマに内閣府(科学技術・イノベーション推進事務局)の合田哲雄審議官が登壇。

「未来の先生フォーラム2022」で講演する奈須正裕教授(Zoomの画面から)

 このうち奈須教授は講演で、学校教育が目指す方向性は多様性と包摂性であると指摘。20年前の小学校の授業風景を紹介し、子供が分からないなりに堂々と自分の考えを述べ、それをじっと見守る教師や他の子供たちの様子を説明して、「このように、その子ならではの意見を大事にしてきただろうか。子供の多様性が公的には現れないような仕組みを作ってきたのではないか」と疑問を投げ掛けた。

 また日本の独自の教育手法とされている一斉授業は、明治以降に米国から輸入されたスタイルで、それ以前は洋の東西を問わず、個別指導が主であったと強調。富国強兵のために一斉授業が日本で根付き、その成功体験のために現在まで引きずっている部分があり、正解主義と同調圧力はここからきているとも指摘し、「この一斉授業を乗り越えていこうというのが、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実だ」と述べた。

 さらに現在の学校教育は、生徒が教師を通して学習の対象である経験や知識を獲得し、その問いを受けた教師がいったんまとめた上でもう一度、生徒に投げ返すというモデルであり、生徒が教師を介さずに知識や経験と向かい合い、自らの問いを一人一人が学び深めるものではないと説明。

 これからの理想の学校教育のモデルは、生徒たち一人一人がICTを通じていつでも自分の都合とタイミングで情報や知識を手に入れ、互いに影響を与えながら、自発性に基づく流動的で共同性のあるものだとして、「端末1台あれば、教室の風景が変わる。生徒たちが自立していくためにはしっかり教えると同時に、時々手を離して生徒たち自身の足で歩きたいように歩かせてみせるような経験をさせることが大切だ」と述べた。

 2日以降の各日のテーマは、2日「2030年の英語教育を考える」、3日「探究学習の理念を実践し評価する」、4日「GIGAスクールと教育ICTは学校教育をどのように変えるのか」、5日「Project-based Learningの意義と実践」、6日と7日「多様な教育」。詳しくは特設サイトへ。

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