「あくまでICTは資質能力を養うための手段」 石井准教授

 オンラインで開催中の「未来の先生フォーラム2022」(同実行委員会主催、教育新聞社共催)で8月2日、「英語教育とICT活用-2030年の授業を構想する-」をテーマに、千葉大学教育学部・大学院教育学研究科の石井雄隆准教授が講演した。石井准教授は、個別最適な学びの実現のためには2030年に向けて、学校現場での学習ビッグデータやAIの利活用が重要になると強調した。

オンラインで講演する石井雄隆准教授(Zoomの画面から)

 最初に石井准教授は、学習ビッグデータを分析して教育現場にフィードバックする「ラーニングアナリティクス」の利活用について触れた。「ラーニングアナリティクス」を通じて、学習者一人一人がどのようなモチベーションや知識、スキルを持っているのかといったさまざまな情報を蓄積したモデルが構築できると、成績や成果の予測ができる上、教材の推薦、行動解析、リアルタイムデータの視覚化などが可能になると説明。

 「教育者にとっては、学習者の学習プロセスを理解した上で教育方法にそれを反映することができ、学習者からすると、状況に応じた学習支援が受けられるようになる。管理者という側面では、データを基に教育機関の資源配分を検討したりできるといったメリットがある」と述べた。

 また一つの例として、オンラインの視聴履歴のデータを取り上げ、学習者が繰り返し見ている場面というのは、まだあまり理解できていない項目であるということが予測されるとして、その場合には対面授業でそこを厚めに教えるということにつなげられるとした。

 次に石井准教授は、AIを活用した自動採点について説明。人間による評価では個人差や置かれた環境によって採点にさまざまな誤差が生じるが、自動採点では処理速度が向上する上、同じインプットに対しては同じアウトプットを返せるため、信頼性を担保できるメリットがあるとした。

 ただし「自動採点はAIが算出した結果に対して、学習者からなぜその結果を出したのか分からないと問題になる可能性があり、説明可能なAIというのがこれを解決する一つの手段として考えられている。AIはブラックボックスだからという不信感を払拭(ふっしょく)するために現在、研究が蓄積されている」とも付け加えた。

 また、ICT活用についての留意点にも言及。教育データを利用する際には、その利用目的とともに、どういったデータをどう処理するのかについて生徒と教師に開示する必要があると説明し、データを収集される生徒が必要とした時はデータを渡したり、削除したりすることも重要になってくるとした。

 最後に石井准教授は「ICTを活用する際に意識しなければならないのは、知識・技能なのか、思考力、判断力、表現力なのか、学びに向かう力なのか、どのような能力を養いたいかが大事だ。あくまでICTは資質能力を養うための手段。これは、1人1台端末でICT活用が広く普及していく中でも変わらない」と強調した。

 「未来の先生フォーラム2022」の明日以降のテーマは、3日「探究学習の理念を実践し評価する」、4日「GIGAスクールと教育ICTは学校教育をどのように変えるのか」、5日「Project-based Learningの意義と実践」、6日と7日「多様な教育」。詳しくは特設サイトへ。当日参加も可能で、特設サイトから登録すれば無料で視聴できる。

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