2030年の英語教育 校内英語スピーキングテストの課題と展望

 日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム2022」(同実行委員会主催、教育新聞社共催)の2日目に当たる8月2日は、「2030年の英語教育を考える」をテーマに10講演が行われ、清泉女子大学言語教育研究所の小泉利恵教授が「校内英語スピーキングテストにおける現状と今後」について講演した。小泉教授は校内英語スピーキングテストが十分に行われていない現状に触れ、「近い将来、AIツールを使ってスピーキングテストを行うこともあるだろう。可能なところは先端技術を使って効果と効率の向上を目指し、それによって浮いた時間を教員による指導や支援、評価の時間に向けることが理想ではないか」と展望を述べた。

 小泉教授は、校内における英語スピーキングテストの現状について、年1回以上行っている中学校は97.7%、高校では54.6%と説明。「特に高校においては、まったく行っていない学校も多い。また、学習の中に組み込んでいく上では、年に複数回取り組む必要があり、中高ともにまだ十分とは言えない」と指摘した。

スピーキングテストの実施方法について説明する小泉教授

 続いて、スピーキングテストの実施方法について、さまざまな実例をビデオで紹介。教員面接型や、録音・録画型、生徒同士が話すペア型やグループ型などが紹介され、「スピーキングテストというと、英検の面接型だったり、パソコンに音声を吹き込む形だったり、教員が慣れている形だけを思い浮かべ、それを実施しようとする傾向がある。しかし、工夫をすれば授業の中でさまざまな形で行うことができる。特にペア型やグループ型は、生徒たちが自発的に話す傾向が高いので、可能であれば積極的に取り入れるといい」とアドバイスした。

 また、「実施方法が分からなかったり、採点に時間がかかったり、ただ結果を生徒に返すだけで有効に活用できていない」とスピーキングテストの課題を指摘。2030年には、全学校において年間を通してスピーキングテストに複数回取り組み、継続して行うことが望ましいとした上で、そのために▽教職課程と教員研修でスピーキングテストの実施方法や評価方法が必須項目になる▽国と地域レベルで評価支援サポートセンターが開設される▽予算面でのサポートが得られる--といったことが求められると提言した。

 さらに今後は技術の向上に伴う発展も見込まれるとし、「例えば、スピーキングテストのやりとりの相手や採点者がAIでも可能になる。すでにそうしたツールも出てきている」と、いくつかのツールを紹介。ただし、こうした技術だけに頼るのではなく、教員と生徒の関わりは維持されていくべきだと話し、「可能なところは技術を活用して効果と効率の向上を目指し、浮いた時間を教員が行う効果的な指導や支援、評価の時間に向けることが理想ではないか。テスト結果を受けての指導や目標の軌道修正、励まし、個別のアドバイスは教員がこれからも関わっていくところだ」と強調した。

 「未来の先生フォーラム2022」の明日以降のテーマは、3日「探究学習の理念を実践し評価する」、4日「GIGAスクールと教育ICTは学校教育をどのように変えるのか」、5日「Project-based Learningの意義と実践」、6日と7日「多様な教育」。詳しくは特設サイトへ。当日参加も可能で、特設サイトから登録すれば無料で視聴できる。

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