日本語教育機関の質保証 有識者会議がたたき台案を検討

 日本語教育機関の質保証の方針を議論している文化庁の有識者会議は8月3日、第3回会合を開き、有識者会議としての検討の方向性となるたたき台案が文化庁側から示されて、一定の基準を満たした日本語教育機関を認定する際の審査基準の内容などを中心に意見交換した。収容定員や施設・設備が適切に管理されていること、授業を担当する教員は全て国家資格保有者でなければならないことなどが明記され、自立した言語使用者を育てるために必要な教育課程の要件を規定する考えが打ち出された。

検討の方向性をまとめたたたき台案について意見を交わす有識者会議(YouTubeで取材)

 有識者会議では、国内に在留する外国人の増加に伴い、外国人が留学や就労、生活などをするために必要な日本語教育を受けられる機会を拡充するため、一定の基準を満たした教育機関を国が認定する制度を創設する方針に伴い、具体的な方向性を議論してきた。

 これまでの議論を踏まえ、この日の会合で示されたたたき台案では、日本語教育機関の認定制度の基本的な考え方として、認定基準を満たせば、自治体が地域の生活者向けに開設しているものや、留学生を対象に日本語教育を専門的に行う大学の別科などを含め、設置者の種別や機関の施設種別は問わずに認定を受けられるものとし、総則で「留学」「就労」「生活」の3類型とすることや、認定基準はあくまで最低基準であり、教育水準の維持向上に関する努力規定を設けることなどを定めるとした。

 その上で、適切な教員数や収容定員を定め、授業を担当する教員は全て国家資格保有者でなければならないことや、収容定員に応じて校舎や教室に十分な面積を確保すること、在学中と卒業後の支援や健康管理の体制を整えていることなどを盛り込んだ。

 また、学習者のニーズに応じて教育課程の目的・目標は多様な在り方が認められるとしつつ、修業期間や授業時数、単位時間などについて規定することや、外国語の能力を同一基準で測ることを目的とした国際標準であるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に準じて、外国人が日本語を学習する際の基準となる指標を定めた「日本語教育の参照枠」を踏まえた基準を満たすことなどを提示した。

 委員からは「日本語教育の参照枠」と教育課程の連動について、「現状の日本語教育の現場では、教育課程で初級、中級、上級とクラス設定している場合が多い。参照枠の用語でそれを表現するにしても、読み替えができるようにしておく必要がある」(札野寛子・国際高等専門学校教授)という指摘が出た一方で、「確かに初級や中級は一般的に使っているが、日本語教育の機関として認定されるような学校では、世界基準でやっていかなければいけないと考えてきた。CEFRでカバーできない面があるので作られたのが『日本語教育の参照枠』で、同じ物差しを持つのは重要だ。やはりこれを機に、一本の物差しでいくのはいいことではないかと思う」(加藤早苗・インターカルト日本語学校長)といった意見もあった。

 さらに、将来的な質の保証の在り方として「『留学』にはさまざまな設置形態の学校があるが、学校法人を全ての機関が目指すというのもあっていいのではないか。株式会社立の学校があって、良い教育をしているのも分かるが、そういう学校も学校法人として学校になっていくことが将来的な方向性になると、質の維持向上になるのではないか」(西村学・全国専門学校日本語教育協会事務局長/文化学園文化外国語専門学校副校長)などの声も上がった。

 有識者会議では次回以降、たたき台案における日本語教師の資格化に関する内容も協議する予定。

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