将来のLGBT教育の在り方は 学生や教員が意見交換

 第50回記念全国性教育研究大会が8月4日から、東京都千代田区の日本教育会館で始まった。初日は「現代的課題に対応した性教育をどう進めるか」をテーマにパネルディスカッションが行われた。パネリストを務めた教員や学生ら4人がLGBT教育を中心に、学校での取り組みなどを紹介し、これからの性教育の在り方について意見交換した。

性教育について意見交換したパネルディスカッション

 全国性教育研究団体連絡協議会(全性連)などが主催。パネリストは▽長野県性教育研究会 渡邉智子会長▽東京都中学校性教育研究会 郡吉範会長▽横浜市立磯子小学校 戸田真由美養護教諭▽東京福祉大学教育学部2年 福島愛理紗さん――の4人。全性連の野津有司理事長がコーディネーターを務めた。

 戸田養護教諭は体と心の性の食い違いに悩む児童がいたことをきっかけに行われた、自校の職員研修を紹介。研修を通して、「学校側ができる支援の選択肢を用意して、一緒に安心できる方法を考える」という共通認識の下、意見交換ができるようになったことや、図書室にLGBT関連の書籍が置かれるなど、教職員が性の多様性について関心を持つようになったといった成果を報告した。その上で、「性のありようは人によってさまざまで正解はない。本人や保護者の思いに耳を傾け、気持ちや困難さを知り、違いや個性を尊重しつつ、学校としてできることは何かを、学校全体で考えたい」と語った。

 郡会長は「男女平等を理解しないで、性自認や性的指向を学んでも概念を理解できない」と指摘。中学校期は男女二元論や性別による固定的な役割といった問題から男女平等について学び、性自認や性的指向を理解する土台を作ることが重要とした。一方で、「教師自身が教えることが難しいのに加え、社会的にも概念整理が動いている段階。『いけいけ、どんどん』ではなく、法的な部分も含めて慎重に指導方法を整備する必要がある」と私見を述べた。

 産婦人科医院の副院長を務める渡邉会長は、LGBTについて、早くから考えなければいけない人権問題とし、「(本人の了解を得ずに第三者がLGBTのことをカミングアウトする)『アウティング』によって、本人が傷つくケースは非常に多い。してはいけないことを教えることも大切」と説明。その上で、「メジャーとかマイナーというくくりではなく、子供たちがなりたい自分になるために、私たちに何ができるかということを考えるのが現代的課題」と見解を述べた。

 養護教諭を目指しているという福島さんは「性に対する考え方が多様で複雑になる中で、日本は世界的に見てLGBT教育が進んでいるとはいえない」と指摘。学習指導要領には道徳で「異性の理解」、保健体育で「異性の尊重」はある一方、「性の多様性」についての記載がないとし、「今日のような研修会や、探究学習の題材にするなどして、少しずつでも触れる機会を設けると良い」と述べた。その上で、「どんな性の人でも生きやすい社会が実現してほしい。将来、教育に携わる者として、できることから取り組みたい」と意気込んだ。

 パネルディスカッションに先立ち、特別講演を行った野津理事長は「『寝た子を起こす』的な批判のある性教育こそ、どのように扱ったら良いか追い求めるべき」と強調。その上で、性教育の発展に向けて、検討すべき課題として、▽「性交」に関して教育的価値のある取り扱い方▽望まない妊娠や性感染症の予防に効果的なスキル▽男女共同参画社会や性の多様性が尊重される社会の実現に向けて、さらに充実すべき内容▽低年齢段階における性教育について、家庭との役割分担と連携の在り方▽学校における性教育への地域の人材・資源の適切な活用――を挙げた。

 2日目の5日は分科会が開かれ、小学校や中学校といった発達段階に加え、多様な性、情報化社会といった課題に応じた性教育について理解を深める講座が開かれる。

0 コメント
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る

あなたへのお薦め

 
特集