高校生の奨学金を大幅拡充 「トビタテ!留学JAPAN」

 文科省は8月5日、官民協働で学生の海外留学を支援するキャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の、来年度から2027年度までの新たなビジョンを示した。コロナ禍で激減した留学生数を27年度末までにコロナ前の水準に回復させることなどを目標に、高校生への留学支援を大幅に手厚くする内容。具体的には、企業支援による高校生への奨学金制度を大幅に拡充するのに加え、高校生の留学を支援する自治体に文科省がアドバイザーとなりサポートを行う。文科省の担当者は「海外留学をしたいと何となく思っている高校生に対して、短期でもいいから後押しすることで、大学入学後の自主的な留学につながる」と狙いを説明した。

 「トビタテ!留学JAPAN」は、留学者数を高校生は6万人、大学生は12万人に、それぞれ倍増させることを目標に13年秋にスタート。当初は20年度までの予定だったが、コロナ禍の影響で22年度まで延長した。民間企業などから集めた資金を、留学を希望する学生に返済不要の奨学金として給付する「日本代表プログラム」や、留学への機運醸成を目的に設立した高校生によるソーシャル部活動「#せかい部」などを通し、学生の留学を促進してきた。その結果、大学生の留学者数は14年度の5万2132人から18年度には11万5846人にほぼ倍増した。

 一方で、高校生の留学者数は15年度の3万5842人から17年度は4万6869人と目標に届かなかった。文科省の担当者は「高校生の留学は大学に比べ、奨学金制度の選択肢が少ないことに加え、地域間の格差が顕著に表れている」と課題を話す。文科省によると、15年度の高校生100人当たりの海外留学率は、福井県が2.89%で全国2位の一方、島根県が0.49%で最下位と、都市部と地方部だけでなく、同じ人口規模の自治体でも大きな開きがある。加えてコロナ禍で留学事業は一気に後退。大学生の留学者数も20年度は1487人に激減した。

 日本の未来を担うグローバルリーダーを育成するため、新ビジョンでは高校生の留学促進を大幅に強化。14年度~22年度で大学生約6100人、高校生約3400人に行った奨学金給付を、23年度~27年度で大学生1000人、高校生4000人と高校生の割合を大きく増やす。「社会にイノベーションを起こす探究リーダー」の輩出をコンセプトに自らの興味・関心のあるテーマを探究する「マイ探究コース」を年間360人、社会課題の解決や社会貢献につながるテーマを探究する「社会探究コース」を年間200人、現地のレッスンに参加しながら、スポーツや芸術の貢献につながるテーマを探究する「スポーツ・芸術探究コース」を年間140人、それぞれ採用する予定。

 加えて、自治体レベルでも機運を醸成し、高校生の留学機会の創出につなげようと、文科省と日本学生支援機構が協力して、都道府県に資金の支援や留学についてのノウハウを伝える「拠点形成支援事業」を新たに始める。来年度から2年間で計12都道府県を採択。採択された都道府県に対して、年間50人程度に給付する奨学金と必要経費を、計1250万円を上限に3年間支援する。奨学金については2年。支援を受けられる条件として、奨学金に充てる資金を、原則10社以上の企業などからの寄付金により毎年度500万円以上、確保する必要がある。都道府県の募集や採択の方法については今後、検討していく。

 このほか、既存の高校教員のネットワーク「#せかい部加盟校」の量的な拡大と、留学促進に取り組んでいる自治体や企業、学校の取り組みを可視化し、共有できる仕組みを作る。次期ビジョンの内容は、文科省のホームページに設けられた特設ページから確認できる。

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