教育データ利活用に向けQ&A集を年度内に公表 有識者会議

 文科省の「教育データの利活用に関する有識者会議」は8月5日、第11回会合を開き、今年度内に公表する予定の、学校や教育委員会が参考とする留意事項(Q&A集)について議論を交わした。学校現場が不安から教育データの利活用がしづらい状態を解消するため、文科省はQ&Aの中でやってよいこと、やってはいけないこと、さらに議論が必要なことの整理を目指すとしており、堀田龍也座長(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「学校現場は教育データに対する警戒がいまだに強い。できるだけ格式張らないQ&Aにすることが、教育データ利活用の普及につながる」と説明した。

留意事項の中身について意見を交わす有識者会議(YouTubeで取材)

 同省は教育データの利活用にあたって、安全・安心を確保する観点から、学校や教育委員会が参考とする留意事項として整理を進めていき、年度内に公表するとしている。その構成として、来年春ごろに改正個人情報保護法が施行されることを踏まえ、個人情報などの適正な取り扱いによる個人の権利利益の保護や、プライバシー保護などの留意点についてポイントごとに記載する。

 また、学校で実際に課題となりそうな個人情報の適正な取り扱いや、プライバシーの保護などの論点について、Q&A方式で解説する。その中で▽やってよいこと▽やってはいけないこと▽まだ議論が必要なこと━━を整理して提示することを目指すとしている。

 渡邉雅之臨時委員(弁護士法人三宅法律事務所)は留意事項について、「分かりやすく、やわらかい形にするべき」と意見し、「例えば、水産庁の『水産分野におけるデータ利活用ガイドライン(案)』は図を多用していて分かりやすく、参考になる。他分野でのガイドラインでは『~なければならない』や『望ましい』など区別して記載しており、そうしたことは明確にしていく方がよい」と述べた。

 戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教育委員会教育長)は同市での取り組みに触れながら、「個人情報やデータの分析結果などの保護者への情報開示については、大きな課題となっている。この点はこの会議においても深堀りして考え、自治体が判断に困らないようガイドラインにも具体的に示してほしい」と要望した。

 また、石井夏生利臨時委員(中央大学国際情報学部教授)は、教育現場ではプライバシーに配慮しなくてはいけない情報が数多くある点を指摘した上で、「保護者の同意があれば全て許されるのかというと、そうではない。例えば本人の意思に反する形で保護者が同意するといったケースもあり得る。誰が同意の主体になるのが適切なのか、難しい論点であり、しっかりと議論すべき」と話した。

 こうした委員からの意見に対し、堀田座長は「特に公立校においては教育データに関して過剰な規制や警戒をすることで、安全を保とうとしている。その結果、教育データを利用したことも見たこともないのでイメージが湧いていない。まずはやれるところからやっていくために、Q&Aが重要ではないか」と指摘。Q&Aの中身についても、「専門的なことよりも、まずは『そもそも教育データとはなにか?』や『個人情報保護法とは?』といったところから丁寧に説明する必要がある。Q&Aをできるだけカジュアルにすることが、教育データ利活用の普及や啓発につながる」と考えを示した。

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