次期教育振興基本計画の重要ワードをマッピング 中教審部会

 次期教育振興基本計画の策定に向けて議論している中教審部会は8月5日、第5回会合をオンラインで開いた。今回は文科省がこれまでの議論に基づいて、次期教育振興基本計画の総論に関わるキーワードと、その関係を整理したマッピング(図解)を提示。「人格の完成」や「不易と流行」など教育の普遍的な価値を上位に置きつつ、教育DXなどイノベーションを示す概念や、多様性・包摂性に関連する概念などを配置した。委員からは追加すべきキーワードや、時間軸など追加すべき要素などに関する意見が寄せられた。

【図表】文科省が提示したマッピング(会議資料より)

 マッピングはこれまでの議論を可視化するものとして、羅針盤をかたどった文科省のシンボルマークを下敷きにする形で配置=図表。進むべき方向を指す上部の円(北極星)の上には、「人格の完成」「国家・社会の形成者」「不易と流行」「学制150年」「希望の持てる計画」「未来の学校の姿」を配置した。

 その下の羅針盤の部分では、大きく分けて左上に「教育DX」を配置し、関連するキーワードとして「GIGA(スクール)」や「情報活用能力」「働き方改革」「個別最適な学び」などをつないだ。一方、左下には「計画の実効性」を置き、それと「教員確保」「教師の指導力向上」「現場に伝わる計画」といったキーワードを結んだ。

 中央には「超スマート社会・Society5.0」が置かれ、関連するものとして「文理横断・文理融合」や「STEAM教育」「探究→PBL」「生産性向上」といったキーワードが並んだ。左側には「共生社会」「誰一人取り残さない」と多様性・包摂性に関するキーワードを置き、その周辺で「不登校」「特別支援教育」「特異な才能」「コーディネート人材育成」などをつないだ。

オンラインで開かれた第5回会合(文科省YouTubeで取材)

 次期教育振興基本計画の策定において重要になるこうしたキーワードの整理について、委員からはさまざまな意見が寄せられた。堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授、東京学芸大学大学院教育学研究科教授)は「教育DXはSTEAM教育、個別最適な学び、情報活用能力にはもちろん関係するが、もっと社会全体の基盤がデジタルによって新しい枠組みに捉え直されていく、という考え方もできれば」と述べた。

 また、岩本悠臨時委員(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事、島根県教育魅力化特命官)は「分野や文化、業種などの『越境』という部分が弱い。社会のさまざまな問題は断絶や分断から起きているし、今後のグローバル化、デジタル化の中でのイノベーションを考えても非常に重要な概念だ。今いる環境や枠組みから一歩踏み出し、異質性や異文化に飛び込んでいくことについて考えていく必要がある」と、マッピングに欠けているキーワードの重要性を指摘した。

 さらに大森昭生臨時委員(学校法人共愛学園理事、共愛学園前橋国際大学学長、共愛学園前橋国際大学短期大学部学長)は「『超スマート社会』がど真ん中に置かれているが、これでよいか。例えば『誰一人取り残さない』が真ん中にあって、そのためには個別最適な学びや教育DXが必要、となるのがよいのではないかと私は思う」と、羅針盤の主軸に置くべきキーワードについて問題提起した。

 マッピングされたキーワードが多岐に渡ることについて、吉見俊哉臨時委員(東京大学大学院情報学環教授)は「いくつかの時間軸で構造化していく必要がある。一つは『2030年までに実現するもの』など、目標との関係における時間軸。同時に、学習者のどの時点でどのようなことを考えていくか、必ずしも年齢によるものではない、学びの時間軸もあり、複線的な時間軸を作っていくことを考えたい。一方で、地域や土壌、ストックなど、時間軸として表れないものも重要で、それをどう表現するかも重要だ」と語った。

 同じく村田治委員(関西学院大学長、学校法人関西学院副理事長)は「目標なのか手段なのか、外部環境なのか、カテゴリーが分けられるものが同じレベルで出ている。基本的な設計図、ポリシー、考え方をちゃんと出した上で、それを中心に組み立てていくことが必要ではないか」と指摘した。

 この日の会合では他にも社会教育や、教育と産業界の連携についても議論がなされ、コミュニティ・スクールや学校と地域の協働、社会施設の機能強化、リカレント教育、キャリア教育などが議題に上った。今回のマッピングには含まれていないが、こうしたキーワードも次期教育振興基本計画の策定に向けて考慮される見通し。

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