(本紙解説陣が見る 教育ニュース振り返り)ジャーナリスト 斎藤剛史

学校統廃合・小中一貫・CS 3点セットが描く学校の未来

昨年を振り返ると、それこそさまざまなことがあった。だが、あえて挙げると、昨年1月に文科省が発表した公立小・中学校の適正配置の手引、6月の改正学校教育法の成立、12月21日の中教審「学校と地域の連携・協働の在り方」答申の3つを選ぼう。それらが、これからの公立小・中学校が直面する課題を、端的に示しているからだ。

文科省が59年ぶりに見直した学校の適正配置の手引では、統廃合の目安となる通学時間を、徒歩だけからスクールバスの利用なども含めるとし、統廃合をやりやすくした。これを歓迎した市町村教委は多いだろう。さらに、改正学校教育法によって、今年4月から小中一貫教育を行う「義務教育学校」が施行される。

これにより市町村教委は、学校統廃合に反対する住民などに文科省の適正配置ガイドラインに沿って進めているとの大義名分を主張できるほか、小中一貫の義務教育学校を新設することで、複数の小学校を1つに統合することに理解を得やすくなる。今後、学校統廃合と小中一貫教育はセットで進められるだろう。

一方、文科省の手引は、学校統廃合を一律に推奨するものではない点も押さえておく必要がある。手引は小規模校のメリットも示しており、統廃合せずに学校を残す選択肢があるのを示している。

この背景には、「人口減少社会」と「地方創生」という2つのキーワードがある。学校を核に地域社会を再構成し、人口減少に歯止めを掛けようとの意図である。つまり、小規模校であっても、地域住民が学校と強く結び付き、その学校を支えていくという覚悟が地域にあるならば、その学校は「地域の核」として残してもよいというメッセージである。文科省は、これを発信しているともいえるだろう。

一方、義務教育学校の新設などによる学校統廃合では、小学校が統廃合されて無くなった地域への対応と、義務教育学校によって新たに誕生する地域の再構築を行わなければならない。そうでなければ、地域社会の崩壊がさらに進み、ひいては人口減少に、のみ込まれることになるからだ。

ここで注目されるのが、中教審答申が打ち出した「地域とともにある学校」という考え方だ。答申は、地域住民や保護者などが学校運営に参画するコミュニティ・スクールの設置を強く推奨している。恐らく新設される義務教育学校では、コミュニティ・スクールとなるのが実質的に求められるようになるだろう。そしてコミュニティ・スクールを核にして、新たな地域社会を再構築することが、義務教育学校の役割となってくる。

ただ、この場合のコミュニティ・スクールは、教員人事や学校運営などに強力な権限を持つ従来の仕組みとは異なり、地域住民や保護者が学校運営に協力して、学校を中心に地域を盛り上げていくという「学校応援団」的なものとなる。中教審答申が、コミュニティ・スクールの持つ強力な権限の見直しを提言しているのは、このためだ。

子どもや保護者が多様化し、さまざまな要請が学校現場に殺到する中で、教職員だけで学校を運営していくのは、もはや限界に近付いている。同じように「地域とともにある学校」と同時に答申された「チーム学校」という考え方も、これと軌を一にするものといってよい。さらに地域社会は、学校が核となることで活性化していくしかない状況にきている。

このように、学校統廃合、小中一貫教育、コミュニティ・スクールの組み合わせは、教職員だけの学校から「地域とともにある学校」として、新たに地域住民や保護者をはじめとして、さまざまな人々が学校に関わることで教育活動が行われるという、新しい時代の学校像を示しているといえる。その意味で、「地域連携担当教職員(仮称)」などの役割が、これからはますます重要となってくるだろう。

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