児童の発言生かす発問を工夫 道徳科授業のもとを探る

児童の考えを説明する展開も大事にした
児童の考えを説明する展開も大事にした

KTO道徳授業研究会は、「教科化に向けて求められる道徳の授業づくりのもととなるものを探る」をテーマにした第9回公開授業研究会を8月8、9の両日、国立オリンピック記念青少年総合センターで開いた。同会代表で筑波大学附属小学校の加藤宣行教諭が小学校2、6年生の授業を公開。教師が指導のねらいを持ち、児童の発言を生かした発問を工夫する展開を提案した。

6年生の公開授業では、70、75、80歳でエベレストに登頂した三浦雄一郎さんの挑戦と努力をつづった教材文を使用。夢や努力、生きる意味を考えた。

冒頭、同教諭は児童に向け「夢を叶えるためには何が必要か」と尋ねた。児童からは「一生懸命物事に取り組む」と同時に「一つの物事だけに意識が向きすぎない方が良いのでは」という意見が出た。

相反する意見を押さえながら同教諭は、教材文を朗読。文章には、若いころ、スキー滑降記録達成後に三浦さんが目標を失っていた様子と、新たな目標としてエベレスト登頂を掲げ、可能性に挑戦する姿が描かれている。文章から、三浦さんの夢に向けた意識や努力を尋ねると、児童は「いつでも自分を信じている」に加え、「がむしゃらに挑戦するだけではなく、目標に向けてさまざまな計画や試みをしている」点も気づいて指摘。夢の達成には、幅のある見方や行動が大事になる点にも、理解を深めた。

続いて同教諭は「三浦さんには、過去に偉大なスキー記録を打ち立てた実績がある。それにもかかわらず、なぜ70歳で苦しい思いをしてエベレスト登頂を目指したのかな」と問い掛けた。児童は「登山家としてのプライド」「体は衰えているけど、やればできると証明したかったから」などと、三浦さんの原動力を想像して話した。

さらに同教諭は、三浦さんが登頂に苦闘する中で発した「涙が出るほど辛くて、厳しくて、うれしい」という言葉の意味も問い掛けた。児童は、「登頂という目標達成の喜びもあるけど、夢に向けたいろいろな過程自体が楽しいし意味がある」などとつぶやいた。自分なりの人生の夢や目標を立て、それに向けて努力するのが有意義な生き方につながると感じ取った。

同教諭はこの授業で、「夢に向けた目標設定の重要性」と「より良く生きたいとの願いがこもった努力は人に大きな力を与える」点をつかませたかったと述べる。そのため、三浦さんの生き方や思いから、児童なりの共感を持たせる発問や展開を工夫したなどと振り返る。

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