スタディサプリを全学年導入 町立小で見えた成果と課題

 教育分野などでのDX(デジタル・トランスフォーメーション)事例を紹介するリクルートのオンラインイベントが9月10日開かれ、同社が手掛けるオンライン学習サービス、スタディサプリを全学年に導入した群馬県吉岡町立明治小学校の井堀尊義教諭が登壇し、子供たちの学びの変化などを体験的に語った。GIGAスクール構想による1人1台端末とスタディサプリの導入で生じた周囲との摩擦やそれを乗り越える苦労、DXの進展に伴う成果と課題などが報告された。

オンラインイベントに登壇した群馬県吉岡町立明治小学校の井堀教諭(右)

 井堀教諭は同校について「農村地帯にある学校。子供たちはとにかく元気で、片手にタブレットを、もう片方の手には虫かごを持って走り回っている」と紹介。町教委が旗振り役となってICT教育を推進しており、同校でも昨年の夏休み明けには1人1台端末を配布、今年度からは全学年でスタディサプリを本格的に活用している、という。

 「これまではどうしても『落ちこぼれを出さない』という授業になりやすく、すでに理解している子は時間を持て余してしまう現状があった」と、井堀教諭は振り返る。

 スタディサプリの導入にあたっては「動画を使うのは教師の怠慢だ」、「動画の授業と比較されないか」などと周囲から厳しい声があったことを率直に説明。これに対して、「われわれ(教員の世代)はデジタルを使えなくても困らないかもしれないが、これからの社会を生きていく児童にとっては必要だ」と訴え続けたことを明かした。

 スタディサプリ導入後の変化について、井堀教諭は「分からないところがある子は復習し、理解が進んだ子は応用に進む」といった習熟度別のフォローがしやすくなったと報告。中には教員の想像を超える自主性を見せるようになる子もいた、という。端末は児童生徒の家庭でも活用しており、一人一人の課題の進捗(しんちょく)状況などが見やすくなるというメリットもあった。

 一方で、「分度器やコンパスなど道具を使う単元では、手を動かす学びも大事」、「ICTだけでは、児童に声を掛け、励ますことでのやる気や安心感の醸成までは担えない」といった課題も見えてきた。

 また、指導力はあるがデジタルで効率化・汎用(はんよう)化するのが苦手なベテラン教員と、デジタルは使いこなせるが対面での指導は成長過程にいる若手教員では、それぞれが異なる課題を抱えていることも指摘した。

 イベントの進行を務めたリクルートの宇佐川邦子ジョブズリサーチセンター長は「若手教員は、デジタルツールをうまく使いこなせてしまうがゆえに、子供に手を差し伸べる、表情を見るといった、子供に寄り添う部分がおろそかになるという課題もあるのかもしれない」と応じた。

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