地域スポーツクラブによる部活動改革 経産省がイベント

 部活動の地域移行を見据え、受け皿となる地域スポーツクラブを核とした地域スポーツの産業化を構想している経産省は9月24日、「『未来のブカツ』を考える~学校部活動と生涯スポーツを支える『地域スポーツクラブ』の創出に向けて~」と題したオンラインイベントを開催した。同省の「地域×スポーツクラブ産業研究会」が6月にまとめた第1次提言の実現可能性を模索する、「フィージビリティ・スタディ」での試みが紹介された。

地域スポーツクラブのフィージビリティ・スタディの可能性について議論する登壇者ら(YouTubeで取材)

 第1次提言では、部活動の地域移行をきっかけに、さまざまな運営主体による地域スポーツクラブが、学校や社会教育施設を活用して、ジュニア世代のスポーツ環境だけでなく、大人のスポーツや健康増進の場を提供し、スポーツを地域産業として成長させるビジョンを描いている。

 イベントの冒頭で、経産省の浅野大介サービス政策課長・教育産業室長は「今は教員が大変な無理を重ねながら無償ボランティアでやっている学校部活動を、そのまま住民に無償ボランティアを強いる形で地域移行するのではない。ちゃんとお金も発生し、質が担保されたサービスが提供される。それによってスポーツが経済として回り、住民の福祉に対しても効いてくる」と第1次提言の狙いを説明した。

 この日のイベントで紹介されたフィージビリティ・スタディの一つである沖縄県うるま市では、部活動へのスポーツ指導者の派遣などを行っているスポーツデータバンク沖縄と連携して、離島を含む市内9中学校の26部活動を地域に移行。ICTを活用して、学校施設の予約管理やデータのマーケティング利用も進めていくという。

 神奈川県茅ヶ崎市では、企業と大学、市がコンソーシアムを組み、さまざまなスポーツを楽しめる総合型地域スポーツクラブを作る。現在は野球チームの「ブラックキャップス」が立ち上がり、地域に根差したクラブチームを目指している。

 コンソーシアムのメンバーで、市内で水泳教室を運営している林正洋・ハヤシ代表取締役は「ただのクラブチームではなく、地域貢献をして子どもたちが第一次産業や健康も勉強していく体制にしていきたい。少子化によって部員数が減っている部活動の受け皿になったり、文化活動の展開ができたりしたらいい。部活動の枠にとらわれない新たなスポーツライフを創出していきたい」と意気込んだ。

 また、私立学校の部活動改革のモデルとして手を挙げた関西学院中学部・高等部では、強豪チームもある中で、教員の働き方改革と部活動の質の担保の両立を目指す。田澤秀信・関西学院高等部副部長は「検証のポイントは、学校における部活動の位置付け明確化、職務範囲の明確化に尽きる」と指摘し、まずは私立学校として、生徒に部活動をどのように提供できるのか、教員間で合意形成を図る必要があると強調した。

 フィージビリティ・スタディの発表を受けて、研究会座長の間野義之・早稲田大学スポーツ科学学術院教授は「教員の働き方改革をどうするかだけではなくて、子どもの学び方も改革しなければいけないし、保護者や地域の方の暮らし方改革までも全部一つにならないと、次のポストコロナの時代の新しいシステムに移行できない。部分最適でどこかを変えればいいということではない。スポーツだけでなく、文化部も含めた全体の話だ。新しい環境に適用していく教員の働き方、子どもの学び方、保護者・地域の暮らし方改革。これらを一体で考えられるような新しいケースを、ぜひ皆さんと一緒に生み出していきたい」と期待を寄せた。

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