「児童虐待などにアウトリーチ支援を」 こども庁有識者会議

 子供関連の施策を総合的に扱う新しい行政組織「こども庁」の創設に向けて検討している有識者会議の2回目の会議が10月18日、内閣府で開かれ、子供支援や児童虐待問題などに取り組むNPO法人の代表など6人からヒアリングを行った。この中で児童虐待問題に取り組むメンバーから「予防が大事であり、アウトリーチ的な支援が必要だ」「虐待は子供を支えるシステムのほころびだ」などと、児童虐待などに苦しむ家庭に積極的に手を差し伸べる支援が必要だと指摘する意見が相次いだ。

オンラインも併用して行われた有識者会議

 この「こども政策の推進に係る有識者会議」は、政府のいわゆる「骨太の方針」で、子供に関する課題に総合的に対応する新たな行政組織の創設が明記されたことを受けて発足。中教審など関係省庁の審議会の座長ら6人と、子供支援などに取り組むNPO団体の代表など18人の臨時構成員がメンバーに加わり、年末までに「こども政策」の基本理念や方向性について取りまとめる。

 同日の会議には、野田聖子少子化担当相が初めて出席し、冒頭、「コロナ禍で多くの子供たちがさまざまな苦しみの中で生きてくれているが、大人の都合で虐待の犠牲になったり、孤独孤立で自ら命を絶つ子供も増加していたりしているのは悲しい事実だ。次の歴史をつくる子供たちをしっかり支えていくことが大人の義務であり、しっかり取り組んでいきたい」と述べた。

 この日は6団体のメンバーからヒアリングを行った。「認定NPOフローレンス」の前田晃平さんは、娘の誕生で育児休暇を取った際、社会とのつながりがない「孤育て」で夫婦とも精神的に追い込まれた経験などを踏まえて、アウトリーチ的な支援の必要性を指摘した。この中で、保育園にも幼稚園にも通わない「無園児」は社会との接点がなく、虐待リスクが高いのに気付かれにくいことを挙げて、全ての家庭が状況に応じて週に何日か保育所を利用できるような制度を作るなどの対策が必要だと提言した。

 また、「子どもの虐待防止センター」の山口有紗さんは、子供時代に虐待などの「逆境体験」があると、大人になって自殺未遂やアルコール問題などの影響が出る可能性が高まり、年間1兆6000億円もの社会損失になると指摘し、虐待の予防が特に重要だと強調。虐待は個人の責任だけでなく、子供を支えるシステムのほころびであるとして、しんどくても内外のリソースを利用しながら自らのウェルビイーングを保つ力をつけられるよう、アウトリーチ的な支援を進めることが重要だと訴えた。

 虐待問題に悩む母親などからの相談を受け付ける活動を続ける、大阪府子ども家庭サポーターの辻由起子さんは、DVから逃げるときに身分証をなくした親が必要な支援を受けられず、夜の街で働いて状況が悪化するケースがあるなどと現状の問題点を指摘し、制度の複雑さや役所間の壁をなくして支援活動に取り組むべきだと訴えた。

 有識者会議では、この日でNPO法人の代表ら18人の臨時構成員のうち10人からのヒアリングを終えた。今後、残る8人からヒアリングを行うとともに、臨時構成員以外の子供支援などに関わる関係者からのヒアリングも並行して行い、基本方針の取りまとめなどに生かす方針。

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