不登校問題解決へ 個別の支援シート導入で

小・中学生の不登校が社会の大きな問題とされるようになって久しい。その数は、平成25年度に6年ぶりに増加し、不登校を理由に30日以上欠席した児童生徒数は国公私立全体で、小学生は約2万4千人、中学生は9万5千人で、計約12万人に達している。

 文科省ではこの不登校問題の解決に向けて、これまでさまざまな施策を講じてきたが、どちらかといえば総合的な支援策に偏りがちで、児童生徒一人ひとりに即した個別の支援策が希薄だったことは否めない。

 その意味で、文科省の不登校に関する調査研究協力者会議(座長・森田洋司鳴門教育大学特任教授)が8月26日の会合で明らかにした「不登校児童生徒への支援に関する中間報告案」は、個別的な支援策を強く打ち出していることからも評価できる。

 個別的な支援策の重要性について、中間報告案では、「個々の児童生徒ごとに不登校となったきっかけや不登校の継続理由が異なることから、それらの要因を適切に把握し、個々の児童生徒に合った支援策を策定し、その支援策を学校や家庭、必要に応じた関係機関が情報を共有して、組織的・計画的に実施していくことが必要である」と強調している。

 そのことを踏まえ、重点方策としては、(1)「児童生徒理解・教育支援シート」による困難を抱える児童生徒への支援(2)不登校児童生徒を支援するための体制整備(教育支援センターの設置促進など)(3)既存の学校になじめない児童生徒に対する柔軟な対応(ICTを使った学習支援、夜間中学校への受け入れ検討など)――を打ち出している。

 この中で注目されるのは、「児童生徒理解・教育支援シート」の作成である。協力者会議の各委員からも、実施に前向きな発言が多く聞かれた。

 このシート(共通シート)の記載欄は、児童生徒個々の学年別欠席日数など、不登校になったきっかけや、家族関係を詳しく書き込むようになっている。

 特に、不登校になったきっかけでは、(1)学校に係る状況(いじめ、いじめを除く友人関係をめぐる問題、教職員との関係をめぐる問題、学業の不振、進路にかかる不安、クラブ活動、部活動などへの不適応、学校のきまりなどをめぐる問題、入学、転編入学、進級時の不適応)(2)家族に係る状況(家庭の生活環境の急激な変化、親子関係をめぐる問題、家庭内の不和)(3)本人に係る状況(病気による欠席、遊び・非行、無気力、不安などの情緒的混乱、意図的な拒否など)――をあげている。

 問題は、これらの個別の情報に関する扱い方だ。中間報告案では、「関係者間で共有されて初めて支援の効果が期待される」とした上で、「子どもを支援するネットワークとして、横軸は学校、保護者、教育委員会、教育支援センター、児童相談所、警察などの関係機関、縦軸は小・中学校、高校、高等専門学校などで情報を共有し、広く組織的・計画的な支援ができるようにする」ことを打ち出している。

 この点から考えると、不登校問題の解決には、最大限尊重されるべき個人情報を関係者間でいかに適切に共有するかという困難な作業が欠かせない。一部に「警察がそうした個人情報を知ることには問題がある」との意見もあるが、社会問題化している不登校問題を解決するためには、それこそ総力をあげて取り組む必要がある。そのためにも、個別の支援シートの導入を支持したい。