新たな教育職種導入を 「社会生活教育士」を参考に

9月16日に文科省から平成26年度「児童生徒の問題行動等指導上の諸問題に関する調査」の結果が発表された(本紙9月17日号既報)。それによると、暴力行為は中・高校で減少しているのに対し、小学校では前年度より572件増の1万1468件で、特に低学年での伸び率が高かった。


 その暴力行為の中身は、対教師暴力や生徒間暴力の件数が多く、「指導に腹を立て、教師を何度も蹴った」「加害児童が他の児童がうるさいと腹を立て、引きずり、引き倒した」などの事案が報告されている。
 一方、自殺件数は230人で、前年度よりも10人減った。ただ、前年度同様に原因不明が127人で最も多い。いじめを苦に自殺したのは4人減って5人となった。


 不登校の小・中学生は12万2902人、全児童生徒数の1・21%で、前年度よりも0・04ポイント増だった。


 いじめについては、岩手県矢巾町の中学校2年生がいじめを苦に自殺したとみられる事案を受け、再調査を実施中で、10月上旬に公表する予定だ。


 なぜ日本の公教育の場で、このような事態が生じたのか。これは、学校や教育の在り方だけの問題ではなく、さまざまな社会状況の反映としか考えられない。


 今年6月に公表されたOECDの国際比較調査で、日本の教師(中学校教諭)は最も多忙なことが明らかにされた。1週間の勤務時間は加盟国(34カ国・地域)平均の38・3時間に対し、日本は53・9時間で最長だった。授業とその準備などに費やす時間はほぼ変わらないものの、部活などの課外活動指導(7・7時間)など、授業以外に費やす時間が飛び抜けて高かった。


 また教育機関に対する公的支出のGDP比をみると、OECD平均が5・4%なのに対し、日本は最下位の3・6%、デンマーク7・6%の半分にも達していない。


 現在、日本の教師は、本来の授業や生徒指導以外に、重い負担を強いられているといってもよい。当然、保護者が担うべきしつけや、きわめて専門性が必要なカウンセリングなどである。最近注目されているスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの配置が期待されているが、予算の関係もあり、十分に機能しているとはいえない。


 そこで提案したい。何度かデンマークの教育事情を視察してきたが、日本では全く考えられない職種が学校に存在していた。「ペダゴウ(padagog)」と呼ばれるもので、「社会生活教育士」とでも訳せる。当初は、幼稚園教師の資格として出発したが、最近では、教育現場で児童生徒の発達のために重要な役割を果たしているという。その教育目標は、民主主義社会の担い手となる児童生徒の社会性をいかに伸ばすかである。


 この社会生活教育士の育成は、大学の養成段階から行われている。「協調性の促進」などを軸にしたカリキュラムは、教育学、心理学、福祉学、社会学などの履修以外に、「社会性を促進する活動」がある。


 その中身は、ハイキング、ロッククライミング、カヌー、キャンプ、家造りなどの戸外活動。絵画、彫刻、版画、陶芸などの芸術活動。木工、織物、染色、彫金などの音楽活動などだ。3年9カ月の養成機関のうち、3分の1近くは実務で、特に、卒業前の3カ月間の実習では給与も支払われ、即就職先で働けるような仕組みだ。


 この取り組みを参考に、児童生徒の健全育成を図るために、教師以外の新たな教育職種の導入を考える時機にきたのではないか。それはチーム学校の趣旨にもかなう。