新しい教育体制推進へ 学校と地域との連携・協働に期待

従来の「地域による学校支援」から脱皮し、「学校と地域との連携・協働」という新しい教育体制の推進にシフトする議論が進められている。全国各地に設置されつつあるコミュニティ・スクールの機能を生かすことが前提になる。実現すれば初中教育の在り方に大きな変化をもたらすだろう。

 この問題が取り上げられたのは、今年4月、文科相が中教審に諮問した「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方について」によるものである。そこで要請された内容は、「今後、すべての学校がコミュニティ・スクール化に取り組み、地域と相互に連携・協働した活動を展開するための総合的な方策」「学校と地域をつなぐコーディネーター配置のための方策」「地域の人的ネットワークが地域課題の解決や地域振興の主体となる仕組みづくり」などである。

 中教審はこれらの事項のうち、コミュニティ・スクールに関しては、初等中等教育分科会の下に「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」、地域における学校との協働体制の在り方に関しては、生涯学習分科会の下に「学校地域協働部会」をそれぞれ設置し、専門的な審議を深めてきた。また必要に応じて合同審議も実施するなど、年内の答申に向けて精力的な検討をしてきた。

 両部会とも、この10月の時点で「審議のまとめ(案)」を発表、「学校と地域との連携・協働」という新しい教育の推進体制の概要を明らかにしている。

 その最大の特色の1つは、従来の一方的な「地域の学校支援」からパートナーとしての「学校と地域との協働」へと転換を図ることを明確にし、「地域において学校と協働した活動を充実させながら、各小学校区でそれぞれの活動の連携を促進することが可能な、共通基盤となるコーディネート機能を有する体制づくりが必要だ」とし、その協働体制を「学校協働地域本部(仮称)」と命名している。

 この「学校協働地域本部(仮称)」は、現在ある「学校地域支援本部」を改変すれば、その実現も比較的可能と考えられており、現実的な提案として評価されよう。

 一方、コミュニティ・スクールの現状は、今年4月現在、全国2389校が指定(幼稚園95園、小学校1564校、中学校707校、高校13校、特別支援学校10校)されているにすぎない。「審議のまとめ(案)」では、コミュニティ・スクールの成果や課題を踏まえた上で「すべての公立学校がコミュニティ・スクールを目指すべきであり、学校運営協議会の制度的位置付けの見直しも含めた方策が必要。その際、基本的には学校または教育委員会の自発的な意志による設置が望ましいことなどを勘案する」としている。

 ただ、コミュニティ・スクールの設置は、その制度への無理解や財政負担などで、全公立学校に設置するのは難しいとされている。当面は、既存の学校を軸とした「連携・協働」を図る方策を考えていく必要がある。その際、重要なのは、教育委員会の役割で、実効ある具体策が期待される。

 また「審議のまとめ(案)」で、「社会に開かれた教育課程」を打ち出していることが特筆される。この中で「社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有する」などと強調している。「学校と地域の連携・協働」を実現する上からも重視したい考え方である。