教職大学院の増設 教委との連携強化が充実のカギ

より高度な専門性を備えた力量のある教員の育成を目指し、平成20年度に創設され19校だった教職大学院は、今年度、公立21校、私立6校の合わせて27校(21年度5校増、22年度1校増、27年度2校増)だが、25年の国立大学改革プランを契機に、その増設が検討され、28年度には18校、29年度には7校が新設されるという(本紙9月28日号既報)。

 教職大学院は、18年、中教審答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」で、「教職課程の質的水準の向上」「教員免許更新制の導入」とともに、教員の質的向上を目指して打ち出された具体的対応策の1つである。そこでは、学部からの進学者と現職教員を対象に、前者は学部段階で得た教員としての基礎的・基本的な資質能力をさらに深め、より実践的な指導力・展開力を備えた学校の有力な一員となり得る新人教員、後者は一定の教職経験を基盤に、地域や学校における指導的役割を果たし得る教員、確かな指導理論と優れた実践力・応用力を備えたスクールリーダーの養成を目指している。何よりも「理論と実践の往還」を基本に、修了要件45単位の内、10単位を学校等での実習を義務化しているところに特徴がある。

 こうした実践的指導力向上に重きを置く教育・研究の場としての教職大学院はこれまで、学校現場に有為な人材を送り出してきたが、当初から定員充足が大きな課題だった。ここ数年の定員未充足大学数、大学定員充足率は、24年度25大学中13大学、96・0%、25年度25大学中11大学、98・5%、26年度25大学中17大学、92・7%、27年度27大学中12大学、98・4%。とりわけ私立大学6校の定員未充足が目立つ。

 文科省は、平成20年度教職大学院設置計画履行状況調査および21年度教職大学院入学者選抜状況で明らかになった定員未充足の要因を、次の6点にまとめている。
 (1)学部生と現職教員の中で、教職大学院の目的・機能、既存修士課程との相違(教育内容、指導体制、実習の実施等)が明確に理解されていない(2)教職大学院を修了した際の、現職教員・学部新卒学生への処遇等への反映が不明確(3)厳しい財政状況にある教委において、現職教員の教職大学院への派遣を増やすのは非常に困難(4)現職教員学生にとって入学金・授業料の経済負担が大きく、学修意欲はあるものの教職大学院進学上で障害となっている(5)大学院修学休学制度や14条特例を活用し、教職大学院に自主的に入学を希望する者に対する学校現場の理解が十分とはいえない(6)大都市で近年、教員採用数が増えており、大学院等へは進学せず、教員への採用を希望する学部新卒学生が多い。

 これらに対する改善策は、採用一次試験免除や名簿登載期間の延長など、徐々によくなりつつあるようだが、抜本的な改善策には至ってはいない。そうした中での教職大学院の増設で、果たして学生確保が持続してできるのかどうか。設置はしたものの学生確保に頭を悩ますという大学が出ないことを願うが、そうならないためにも、あらためて大学が、教員を受け入れる側の教委や学校現場のニーズを受け止め、連携を重視する教職大学院の基本理念に立ち戻ることが重要ではなかろうか。カリキュラムや教育方法等について教委等の要望意見を反映しつつ、より質の高い教員を送り出す仕組みを構築することが、遠回りでも学生確保につながるものと考える。
 そのためにも、大学、教委の一層の連携強化を強く望みたい。