深刻化する不登校問題 チーム対応で成果上げる

不登校問題に悩まされる学校は、依然として多い。このような中で、適切な対策で著しい効果を上げている自治体がある。文科省が10月28日に開いた不登校に関する調査研究協力者会議では、岡山県総社市と東京都福生市の取り組みが示された。

 総社市の場合は「学校適応促進を基盤とした生徒指導や学習指導、特別支援教育、学習経営などの工夫・改善など」により「誰もが行きたくなる学校づくり」を実現する実践。支援体制が整備されており、「一次支援/全児童生徒への未然防止」「二次支援/不登校になりそうな児童生徒に対する支援」「三次支援/不登校になってしまった児童生徒に対する支援」を行う。一次と二次の支援では、品格教育、社会性と情動の学習(SEL)、ピア・サポート、協同学習を実施。三次では、スクールカウンセラーを活用したチーム支援などが行われている。

 特に、学校適応に関して課題のある児童生徒への対応については、教育相談係やスクールカウンセラーなどを含めたチームで行い、関係機関などとの連携を密にしているという。

 このうち、社会性と情動の学習では「グループワークなどの体験的学習資料を用いて、自己の感情(情動)を統制し、適切に表現し、他者と関わるためのスキル、態度、価値観を身に付けさせる」、ピア・サポートでは「児童生徒が相互に支え合う活動を通して、思いやりのある児童生徒を育てる」のを目指している。

 同市の研究・実践に協力し、この日の報告者でもある栗原慎二広島大学大学院教授は、「落ち着いた学校状況を作り出すことで問題行動全体が減少し、その中でいじめも減る。それでも不登校児童生徒は1%残る。その1%も専門家などを交えた集中的支援によってなくすことは十分に可能だ」と結論づけた。その上で、同市が実践しているチーム学校の中核的な役割を発揮する「教諭籍のスクールカウンセリングチーフ(SCC)」の存在を評価するとともに、コーディネーターの重要性を強調した。

 福生市は「不登校対策のキーワードは『個別対応』。その子に寄り添う指導・支援の情報共有化を図るために『個別支援カルテ』を発行し未然防止への対応に役立てている」という。

 その対策は「学校が取り組む10の行動」(5つの予防策と5つの支援策)からなっている。予防策は、(1)魅力ある学級づくり(2)保護者から欠席の電話が入った時の対応の徹底(3)欠席当日の対応(4)連続欠席3日の対応、連続欠席7日の対応(5)臨床心理士による個別面接――を、支援策は、(1)不登校個別支援カルテの活用(2)不登校児童生徒連絡会議の設置と活用(3)保護者との連携、児童生徒へのメッセージ(4)スクールカウンセラー、教育相談室との連携(5)学校適応支援室との連携――をあげている。

 同市の取り組みについて報告した石田周同市教委教育指導課長は「不登校出現率が減少した。一人ひとりの個別対応が可視化されたことによる教員の不登校対応への意識が向上した」などと成果を述べるとともに、「魅力ある学校づくり、学びがいのある授業づくり」を課題にあげた。

 両市の取り組みは「不登校の原因は多種多様のため、包括的な支援策を構築しない限り効果的な解決策は望めない。少なくとも、教職員全体の共通理解を図りながら、チームとして対応することが求められている」で共通している。現下の危機的状況を克服するために、大いに参考になる。