暴力行為の低年齢化 危機感をもって対応を

小学校における暴力行為の増加、低年齢化に歯止めがかからない。文科省がさきごろ発表した平成26年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果によれば、暴力行為について、中・高で減少傾向にあるのに対して小学校は増加傾向をたどり、特に低学年での高い伸びが明らかになった。(本紙9月17日号既報)

 調査は、全国の国公私立小・中・高校などを対象に実施。暴力行為や不登校、いじめ、自殺等の問題行動の実態を調査した。その中で、小学校で起きた児童の暴力行為は、1万件を超え、過去最多となった前年度を更新、1万1468件に上り、小学校における暴力行為の増加傾向に歯止めがかからない状況にある。これは、平成18年度3803件の3・01倍、22年度7092件の1・61倍にあたる。また小学校と中学校の発生件数との比較でも、18年度は小学校の8・03倍だった中学校の暴力件数が、22年度には6・06倍、26年度は3・11倍と差を縮めつつある。

 加害者数の学年別内訳は、小学校6年生3217人、5年生2649人、4年生1988人、3年生1316人、2年生1017人、1年生621人。これは、18年度のそれぞれ、1・9倍、3・0倍、3・8倍、4・2倍、4・3倍、5・0倍にあたり、低学年ほど増加率が高い。以前の「荒れる中学生」から「荒れる小学生」に変わりつつあるようだ。

 ところで、こうした暴力行為の背景や要因はどのようなところにあるのだろうか。「暴力行為」そのものではないが、全連小健全育成委員会が実施した、学級がうまく機能しない、いわゆる「学級崩壊」についての全国調査結果は参考になる(平成26年7~8月、都道府県各10校の校長に質問紙法等で調査。回答校数469校)。

 それによると、いわゆる「学級崩壊」があった学校は、平成25年度469校中55校(12%)。過去5年間の推移は、平成21年度15%、22年度12%、23年度10%、24年度7%で減少傾向にあったが、25年度は増加。その背景、要因は「教師と児童、児童相互に好ましい人間関係が築けなかった」43校、「特別な支援や教育的配慮を必要とする児童がいた」33校、「問題行動への適切な対応ができず、その状況が広がった」30校、「子供の気質の変化(我慢、集団行動ができず、規範意識が薄れた)がある」25校、「授業内容や方法に不満をもつ児童がいた」25校、「幼少期からしつけ、生活習慣、社会性が積みあがっていない」21校などであった。

 教師の指導力不足、児童の気質の変化や家庭・地域社会の教育力の低下等が、複雑に絡み合っている。これらは「暴力行為」の背景、要因とほぼ軌を一にするものと考えられるが、こうした状況を生み出す教育環境が即好転するとは思えず、今後も小学校の暴力行為が増え続けると懸念される。

 小学校にあっては、こうした現状を危機感をもってあらためて受け止め、暴力行為のあるなしにかかわらず、その積極的対応が強く求められる。その際、「暴力行為の実効的な対応は、児童生徒の学習環境の改善、ひいては不登校やいじめといった問題行動等の改善に資する」とした、平成23年7月、文科省から出された「暴力行為のない学校づくりについて」(報告書)を参考に、校長、生徒指導主任を中心に全校で対応する体制を築くとともに、各担任が児童生徒理解を深め、アンテナを張り巡らせて早期発見、早期対応を図る。これが極めて重要である。