教育課程の改訂に向け 着地点を踏まえた研修を

小・中学校の新学習指導要領の告示が平成28年度中に実施されると、新教育課程は、小・中学校はそれぞれ32、33年度から全面実施の流れとなる。高校の場合は1年遅れの告示と34年度から年次進行による実施となる。この間、新学習指導要領の一部が実施可能となり、また一定の内容が移行措置として実施されることが予想される。学習指導要領の解説も漸次作成発行される。

今回の改訂は、教育課程の仕組みの構造改革といった様相を持っていると同時に、改革内容が多岐にわたる多元的な性格をもっている。告示から移行措置期間、全面実施に至る期間を通じて、改訂の趣旨や特色、教育課程の編成・実施に係る具体的なポイントを各学校に周知し、着実に実施が行えるようにすることが求められる。

全国の教育委員会、教育センター等では、来年度以降の新学習指導要領の趣旨徹底のための研修の計画作成がなされる時期である。改訂の特色を踏まえたとき、どのような研修の在り方が求められるであろうか。

第1に、告示から実施までの時期に応じた、また先取りした研修を企画・実施することである。一般に新教育課程への移行は、改訂趣旨や内容の周知と理解の段階、試行と実施の段階、成果の確認と定着の段階に分けられる。これらいずれのステップも円滑な移行のためには重要であり、各課題を解決して先に進めることができるように計画する。

第2は研修内容の検討である。一般に、改訂の全体像、総則、各教科等、学習評価といった区分が考えられる。今回の改訂は資質・能力の三つの柱が教育課程全体に浸透・具体化され、カリキュラム・マネジメントの円滑な実施が求められることなどから、総則、各教科等といった区分ごととともに、教育課程全体として目標実現をどのように図るかを重視する必要がある。

第3は、研修方法の検討である。これまでは、改訂にかかわった識者等を招いて研修会を行ったり、指導主事等が地域や学校に出向いて研修を担当したりするといった形が多かった。ただ、大切なのは、学校の教育活動を担う当事者が自ら理解し、実践していくための機会となるように工夫することである。例えば、答申や学習指導要領の読み込みは、教師自らが可能であり、グループワーク等を通じて、主体的な理解と実践化を促すことが重要である。

第4は、用語の定義を問題にする事態に陥らないように前向きな研修とすることが必要である。「アクティブ・ラーニング」や「深い学び」などの新しい用語が提起されると、この実践は「アクティブ・ラーニング」といえるのか否かが問われる場合がある。これらの言葉は、学習の基本的な性格や方向性を指したものであることを踏まえ、微細な事柄にとらわれず、創造的な授業実践を促すようにしたい。

第5は、今回は小・中学校に比べて、高校の大幅な改訂が予定されている。科目構成の大幅な見直し、探究的な学習の促進、学習評価の改善、義務教育との接続、教育の質保証など改訂は多岐にわたっている。高校の改訂にかかる研修については、主体的で探究的な学習、観点別評価等は、告示を待つことなく現行の課程で実施可能である。研修内容を先取りして実施したい。

新学習指導要領が目指すところは、教育課程全体で、また小・中・高校を通じて、資質・能力達成型の教育課程運営に移行していくことにある。
この着地点を踏まえた研修計画を構想することが大切である。

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