地球外生命への期待 子どもの夢広がる惑星探査

師走の澄んだ夜空を見上げると、壮大な天の川銀河や太陽系の仲間の惑星たちが輝きを増し、せわしない社会に生きる私たちの気持ちを穏やかにしてくれる。宇宙探査は、好奇心の豊かな子どもたちの夢を広げる。今年の惑星探査で特に注目を集めたのは、太陽系外縁の準惑星・冥王星の素顔が明らかになり、地球の姉妹惑星・火星や、土星の衛星エンケラドスに水の存在する証拠が見つかり、地球外生命への期待が高まったことだろう。

私たちの太陽系のある天の川銀河のような銀河は、この宇宙に1千億個以上も存在する。その天の川銀河だけでも、太陽みたいに自分で光る恒星が2千億個から4千億個もあるとされ、その周りを地球に似た惑星が回り、生物がいても不思議ではないと、多くの科学者は考えている。なかには、アメリカの天体物理学者フランク・ドレイク氏みたいに、電波望遠鏡で宇宙人の発信する電波のキャッチに長年取り組み、地球外文明の数を推定する方程式を提唱した科学者もいる。

子どもたちが興味を抱くこうしたテーマに、科学的に一歩ずつ着実に近づく惑星探査の成果が、今年はいくつか注目を集めた。
その一つは、米航空宇宙局(NASA)がこの9月半ばに発表した土星探査機カッシーニによる土星の衛星エンケラドスの7年以上にわたる観測分析結果だ。

日本の中学校理科第2分野・生物的領域(教材)では、地球上の生命を育んだのは「水」だと説明している。水はさまざまな物質を溶かし、複雑な化学反応を可能にして、ウイルスのように自己複製する物質を生成し、その物質が自分の周りを膜で囲み、「生命」が誕生した。地球の生命が誕生した環境としては、海底の「熱水噴出孔」が本命視されている。

太陽系ではどの惑星に生命が存在し得るのか。これまでは地球の姉妹惑星・火星が有力視されていたが、カッシーニが観測した直径500キロほどの土星の衛星エンケラドスが脚光をあびた。この衛星は全球を氷に覆われており、同探査機はエンケラドスに50キロ弱の至近距離まで接近し、南極付近から噴き出す間欠泉の柱の中を通り抜ける離れ業をした。観測の結果、この衛星は氷の下に全球に広がる海があり、噴出する間欠泉の分析から、地球海底の「熱水噴出孔」と同じような熱水環境があることが分かった。

次に、太陽系の端にある準惑星・冥王星の神秘の素顔が、10月にNASAの探査機ニュー・ホライズンズの観測データから明らかになった。この探査の結果、冥王星が予想よりやや大きく、地殻に水の氷が豊富にあり、大気圏に多層の大気が存在する証拠が発見された。またハート形の氷原で注目された地表が、豊かな色彩にあふれていることも分かった。

さらに水の存在は、太陽系惑星における生命の存在の可能性を広げた。NASAは9月末に、火星を周回する探査機マーズ・リコニサンス・オービターが、火星に液体の水がある強い証拠を発見したと発表した。正確には水の存在を示す「水和した塩えん」という物質だが、火星の表層直下に水が存在する可能性が大きくなった。

火星では、温かい春から秋にかけて、筋状の黒い模様が繰り返しクレーター縁などの斜面に現われ、冬に消える。この筋の幅は5メートル弱で、長い筋は100~200メートルに及ぶ。水があれば火星に行きやすい。2030年代半ばに有人の火星周回飛行が行われる。子どもたちの夢を膨らませてほしい。

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