ESD実践校から学ぶ 教員間の連携と地域の協働体制

持続可能な社会の実現に向けて、現代社会の当面する環境、経済、社会、文化などの各側面からとらえられる課題を、児童生徒が身近な問題としてとらえて学ぶESD教育。その推進については教育振興基本計画に、取り組むべき課題として盛り込まれており、現行の学習指導要領にも、世界やわが国の社会が持続可能な発展を遂げるためにさまざまな課題に児童生徒が協力しながら対応していく重要性を指摘している。社会科では具体的な記載が見られる。

ESDでの取り組みとして重要なのは、教員間の連携に基づく指導体制と各教科・領域等の横断的な視点に立った教育課程の編成・実施であり、児童生徒の主体的な学習活動の重視である。実践校では、教師も児童生徒もESDのねらいを十分に理解した上で、教育活動に取り組んでいる。

学校経営の改善・充実を図るには、校長の定めた学校の教育目標実現を図る日常的な教育活動が計画的・組織的に行われていることが重要である。日常の教育活動として最も重要な役割を担っているのは、各教科等の授業であり、その基盤となるものが学校の教育課程である。

しかし、実態は学校が定めた教育課程にそった授業等がどの程度に実践されているだろうか。各教室、各教科では、それぞれの担当者が教科書に基づいた授業を展開しているのが一般的で、学校の教育目標と授業とのかかわりがほとんど考慮されず、学校の教育目標は日常の教育活動から乖離したものとなっている。こうした状況では、校長の意図する学校運営は難しい。

学校運営の改善充実には、校長の意図する経営方針を教員一人ひとりが理解し、各教科等の授業をはじめ学級経営や生徒指導等で実践することが重要である。しかし、教室では教師の指導観、教材観による指導が強く主張され、そこでは学校の教育目標との関連性はほとんど見られない。

ESDに取り組んでいる学校では環境、エネルギー、防災など児童生徒が身近な課題として学習できるテーマを取り上げ、児童生徒の主体的な学習活動を促し、自分たちを取り巻く世界に対する意識と責任感を向上させる教育活動を組織的・計画的に実践しており、学習成果は児童生徒の変容からとらえられる。そのための工夫として、各学年・各教科等の連携を密にした年間指導計画として「ESDカレンダー」の作成があげられる。このカレンダーは、目標実現のために各学年・各教科における指導内容の関連と教科の学習を探究的な活動に結び付ける「総合的な学習の時間」の学習活動との関わりを明示したもの。全教職員の協働でつくり上げる。一般の学校でも教育目標実現のための各教科等の年間指導計画を作成してはいるが、実践の段階でその趣旨がどの程度生かされているか、心許ない。

ESDから学ぶ学校運営改善に向けたもう一つの取り組みとしては、地域の学習環境、教育資源を計画的に活用している点である。ESD実践校では、体験を伴う地域に学ぶ学習活動、地域の専門家や関係機関の協力を得た学習活動が行われている。この点については、一般校の教育活動の充実にとっても同様な取り組みは必要である。

学習指導要領では、学校教育の目的達成のためには家庭や地域の人々の協力、地域社会との連携を深める重要性を指摘している。学校運営の一層の充実を図るには、学校管理職の目指す学校像とそれを具体化する取り組みを教職員、児童生徒、保護者、地域の人々に示し、協働体制の下で実践していく以外に道はない。

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