学習指導要領改訂の年に 趣旨と理由の共有見直す

あけましておめでとうございます。教育に携わる全ての皆様方にとって、本年がよい年となるようお祈り申し上げます。

次期教育課程の基準の改訂作業が進められている。今年はその正念場である。平成28年度中には答申され、小学校で32年度、中学校で33年度から実施される。各学校が編成する教育課程は、教育の理念と目的、目標、教育内容の構成、授業時数、履修の仕組み等を基本的な枠組みとして編成実施される。教育課程の基準の改訂とは、これらの枠組みの見直しを図ることである。

平成元年改訂では「豊かな心」「自ら学ぶ意欲」の育成などの理念の下、主体的な学習が重視され、生活科の新設や学習評価の改善がなされた。平成10年改訂では、生きる力の理念の下、「自ら学び、自ら考える力」の育成がねらいとされ、授業時数の縮減と教育内容の厳選、総合的な学習の時間が創設された。平成20年改訂では、教育基本法等の改正を受け、学力の要素を明確にすると同時に、授業時数および教育内容の拡充、言語活動の充実等が図られた。

これまでの改訂を振り返ると、時代と社会の空気を反映した見直しであったのがうかがえる。ただ、これらの改訂から分かるのは、先を見通す難しさである。この間、学力観や学習指導観は「自ら学び、自ら考える力」に象徴される児童生徒中心主義から脱却し、教えることと学ぶことの調整へと向かっている。また総合的な学習の時間に象徴される教育内容総合化の流れは、調整の時期にある。さらに、平成元年改訂で、国際化対応の趣旨に基づく高校世界史の必履修化は、見直しの作業に入っている。

変化の激しい中、10年先の社会や教育への要請を見通すのは難しい。重要なのは、これまでの改訂に伴う学校教育の取り組みを成果と課題の視点から評価することであると考える。また21世紀型学力といわれる世界的潮流を踏まえるのも重要だが、先行する各国の取り組みの課題についても把握した改革となるのを期待したい。

さらに、教育課程が改訂されれば、当然ながら各学校は趣旨を理解し、日々の教育活動に具体化する努力を進めていくことになる。その際、重要なのは、改訂の趣旨や理由の各学校、教員での共有である。平成10年改訂の総合的な学習の時間や平成20年改訂の言語活動の充実などは、趣旨の浸透から具体的な教育活動の展開、定着までに、一定の時間を要したとみることができる。なぜいま言語活動なのか、言語活動と言語能力とは別ものかなど、意味と細部の理解が教育活動の展開には欠かせない。

昨年8月に出された教育課程企画特別部会の論点整理によると、「社会に開かれた教育課程」や、育成すべき資質・能力について「何を知っているか、何ができるか」などといった新しい用法が示されている。また各教科等の学習と教育課程全体とを往還させるカリキュラム・マネジメントが強調されているが、これまでも教育課程の運営として可能ではなかったのか。さらに、アクティブ・ラーニングを〝新しい学び〟として提言するのであれば、これまでのさまざまな教育実践の蓄積とどう違い、どこが新しいのかを具体的に提起しないと、学校現場はとまどう。高校の改訂については、新科目の検討がいくつか示されているが、必要性にかかわる理由の叙述は十分とはいえないのではないか。

何分にも高校の現行教育課程は、平成25年度の学年進行での実施から3年しか経ていない。学校現場にとって改訂の趣旨、理由、従来の実績の関連が明確となる見直しを期待したい。

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