「学校王国」から脱皮 地域との連携・協働の大展開で

中教審(北山禎介会長)は昨年12月21日に開かれた総会で、初中教育分科会内の各部会(作業部会)で検討してきた「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上」「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策」「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方」の3つの答申案を最終調整した上で、馳浩文部科学大臣に答申した。

この3点セットの答申が実現すれば、従来の「学校王国」という意識から脱し、外部の専門スタッフや地域の人たちが一体となって対応する「チーム学校」の導入に道が開かれるなど、学校観の大転換につながろう。80年代に「教育の自由化」など4つの答申をした首相直属の臨教審の教育改革に匹敵するほどの動きといってもよい。

3つの答申のうち、「教員の資質能力の向上」は、「教員は学校で育つ」との考えの下、教員の学びを支援するため、研修・採用・養成の各改革を打ち出している。この中には、チーム研修の推進、ミドルリーダーの育成、学校インターンシップなどの導入もある。

「学び続ける教員を支えるキャリアシステムの構築」のための体制整備を図るため、大学と教育委員会が連携する「教員育成協議会」を各地に設置し、初任者から管理職までそれぞれの段階ごとに身に付けるべき能力を示した「教員育成指標」と研修計画を策定するよう求めている。

「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策」では、(1)専門性に基づくチーム体制の構築(2)学校マネジメントの強化(3)教員一人一人が力を発揮できる環境の整備――などを打ち出すとともに、「チームとしての学校」と家庭、地域との関係では、「わが国の学校や教員は、多くの役割を担うことを求められており、子どもに対し総合的な指導が可能であるという利点がある半面、役割や業務を際限なく担うことにもつながりかねない側面がある」とした上で、「学校と家庭や地域との連携・協働により、子どもに必要な資質・能力を育むための教育活動に取り組む必要がある」としている。

「地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方」の答申では、「学校と地域はパートナーとして相互に連携・協働していく必要があり、そのことを通じ、社会総がかりで教育の実現を図る必要がある」とした上で、「子どもたちが全国どの地域においても地域の協力を得て成長できるようにするため、各教育委員会内のコミュニティ・スクールや学校支援地域本部や放課後子ども教室などの施策を担当する部局との連携・協働が不可欠」などと指摘している。

これらの答申について北山会長は、「学校と地域との連携・協働が密接に打ち出されている。重みのある答申である」と述べ、各委員からも、評価する意見が相次ぎ、「学校像の大改革、大展開だ。地域の中で育つ教員像というイメージもある」「初中教育と生涯学習がパートナーシップを結んだ答申だ。快挙といえる。学校を核にしたまちづくりの推進にもつながる」などの指摘があった。答申を受けた馳文科相は、「今後、制度面での調整が必要であれば法改正に着手し、速やかに実行に移したい。予算措置にも全力で取り組む」と強調した。

これらの答申の目指す方向性については全面的に支持するが、「教育の自由化問題」などで委員間の対立を引き起こし、結局は答申が生かしきれなかった臨教審の轍を踏まないための方策を考えることが、今後の大きな課題になろう。

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