センター試験での不正 新しい「評価テスト」に期待

(独)大学入試センターが毎年1月に実施しているセンター試験で、替え玉受験など過去の不正行為が明らかになった。

同センターによると、確認された不正行為は、昨年までの10年間で、全国31の都府県の試験場で合わせて65件に上り、67人が全科目の受験結果を無効とされた。その内訳は、本人になりすまして他人が受験する「替え玉受験」が2件、「解答終了合図後の記入」30件、「定規の使用」13件、「カンニングペーパーの所持・使用」8件など。このほか「電子辞書の持ち込み」などのケースもあった。

「替え玉受験」のうち1件は、平成20年に、東京の試験会場で起きた。女子生徒が、体調不良で途中から受験できなくなった。それを知った同じ高校に通う女子生徒が、その生徒から同意を得た上で替え玉となり、その生徒の受験番号と氏名で「数学(1)」と「数学(2)」を連続して受験。「数学(1)」の時間に監督者が、受験番号が違うのに気付き、「数学(2)」に際して退出させた。受験した生徒は「自分は推薦で合格していたが、相手は数学が必要なので同情した」と説明したという。

もう1件は、平成22年に京都の試験会場で、数学(2)の時間にあった。同じ高校に通う男子生徒2人が事前に打ち合わせ、相手の受験番号や氏名を解答用紙に記入するなどして一部の科目を受けたといい、採点時に不正が判明したという。

センター試験は、偏差値偏重による受験競争の過熱を是正するとともに、人間を多面的に評価し、個性的な入学者選抜ができるようにするため、平成2年度の入学者選抜から共通第一次学力試験に代えて私大も参加して実施された。すでに四半世紀の月日が経つ。わが国の高等教育史上、画期的な改革であった。

そのセンター試験が、一部の心無い受験生による不正行為によって悪用された。このニュースに接して、「この試験は、いよいよ制度疲労に陥ったか。やはり、抜本的な改革をする時機にきたのではないか」との印象を深めた。

不正行為が引き金になったのではないが、大学入試改革への道はすでに始まっている。昨年3月に設置された文科省の高大接続システム改革会議(安西祐一郎座長)が審議し、センター試験に替わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に注目が集まっている。今年3月には最終まとめをして、平成32年度から導入する予定だ。

この新テストは、今後、社会で活躍する上で求められる「総合的な思考力や表現力の育成」を重視。そのため、「記述式の問題」を盛り込み「評価する」としている。その際、(1)複数のテキストや資料を提示し、必要な情報を組み合わせて思考・判断させる問題を出題(2)学んだ内容を日常生活と結びつけて考えさせるような問題を出題――などの改善を加えることを求めている。

記述式を導入する教科は、当面、高校の必履修科目である国語と数学。その意義については「解答を選択肢の中から選ぶのではなく、自らの力で考え出すことにより、より主体的な思考力・判断力の発揮が期待できる」としている。

記述式新テストの導入が、従来のセンター試験の欠点を是正し、公正公平な試験制度に生まれ変わる点は大いに歓迎する。だが、受験生の「主体的な思考力・判断力」がどこまで発揮されるのか。テストの性格上、難しいのではないか、またぞろテクニックに走るのではないか。それが杞憂であればよいが。

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