地域との連携・協働 実情に即して着実な実現を

全公立学校で、地域住民や保護者等が学校運営に参画する仕組みとしてコミュニティ・スクールを目指すべきであること、また全小・中学校区をカバーする領域で、地域における学校との協働体制として地域学校共同本部の構築を目指すべきであることを骨子とした中教審答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域との連携・協働の在り方と今後の推進方策について」が昨年12月21日に公表された。

答申では、これからの学校と地域の目指すべき連携・協働の姿として、地域住民等と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校」への転換、地域のさまざまな機関や団体等がネットワークを図りながら、学校、家庭、地域が相互に協力し、地域全体で学びを展開していく「子どもも大人も学び合い育ち合う教育体制」の構築、さらに、学校を核とした協働の取り組みを通じて地域の将来を担う人材を育成し、自立した地域社会の基盤の構築を図る「学校を核とした地域づくり」の推進を掲げている。

こうした学校と地域の連携・協働の在り方は、これまでの「地域に根ざした教育」、「開かれた学校づくり」からさらに一歩踏み込み、「地域」に大きくシフトした学校への転換を図るもので、地方再生も含めた今後の地域と学校の在り方に新たな方向性を示したものとして積極的に評価したい。

ただ、その実現には課題がみられる。

例えば、「地域とともにある学校」の運営にあたり、答申では、関係者全員が当事者意識をもち、子どもたちの抱えている課題や地域でどのような子どもを育てるかという目標・ビジョンを共有するべく「熟議(熟慮と議論)」を重ねること、学校運営に地域の人が「参画」し、共有した目標に向かって共に「協働」して活動していくこと、その中核となる学校は、校長のリーダーシップの下、教職員全体がチームとして力を発揮できる組織「マネジメント」力を強化することの3つの機能を求めている。しかし、具体として、当事者意識をもった地域人材の確保をどう図るか、「熟議」「協働」のための人や時間や予算措置をどう設定するか、教職員の意識改革をどう進めるかなど、解決するべき課題は多い。

ところで答申では、こうした「地域とともにある学校」の具現化をコミュニティ・スクールに求めている。コミュニティ・スクールは平成16年の地教行法改正で導入された制度。保護者や地域住民が合議制の機関である学校運営協議会を通じて一定の権限と責任をもって学校運営に参画し、よりよい教育の実現を目指す仕組みである。そのコミュニティ・スクールの必置を検討するよう求めた教育再生実行会議第6次提言を受けて審議を始めた中教審だが、直ちに設置を義務づけることはせず、現在、任意設置となっている状況から、全公立学校でその導入を目指すべきであるに留めた答申は、適切な判断だったと思われる。

この答申における学校と地域との連携・協働の在り方は、これまで以上に地域にシフトした在り方に変えるものだが、その地域そのものが多様である。地域の産業や人口構造、通学地域、これまでの学校と地域の関わりなどが違う中で、地域と一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校」への転換を一律に図るのは難しい。

コミュニティ・スクールによる新たな学校と地域の在り方を構築し、持続させるためにも、拙速ではなく、実現に向けた課題を一つ一つ解決しつつ、学校や地域の実情を踏まえた着実な実施が強く求められる。

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