「深い学び」とは何か 実践モデルでその具体示すべき

次期教育課程の1つの特色は、アクティブ・ラーニングとカリキュラム・マネジメントに置かれることが想定される。前者は「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」であり、後者は、各教科等における教育活動と教育課程全体とを「往還」させる取り組みとされている。

ところでアクティブ・ラーニングに関連して、「深い学び」という用語が用いられている。昨年8月にまとめられた教育課程企画特別部会の「論点整理」によると、「学び全体」の改善の視点として次の3つをあげ、「深い学び」との言葉を用いている。(1)「習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭においた深い学びの過程が実現できているか」(2)「他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか」(3)「子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程が実現できているかどうか」

また「質の高い深い学び」という用い方もされている。(1)ではおおむね習得・活用・探究や問題発見・解決の学習過程が示されており、(2)では他者との相互作用、対話的な学びの過程が、(3)では見通しと振り返りといった主体的な学びの過程が示されている。「深い」については、(1)で「問題発見・解決」に関連づけ、(2)では対話的な学びを通じて「考えを広げ深める」という言い方がされている。

ところで、「深い学び」のように「学び」を名詞として用い、それに「深い」という形容を与えると、「学び」が実体化され「深い」「浅い」が問われることになる。また「学び」とは「学習」と同義であると考えられるが、その場合「深い学び」とは「深い学習」という意味となり、どのような学習が深い学習で、また、その特徴は何かが問われる。

「深い学び」とは、ある学習の状態を指していると捉えると、どのようにしたらその状態が作り出されるのかが教育実践の課題になる。「論点整理」では「問題発見・解決を念頭においた深い学びの過程」とし、「問題発見・解決」は「念頭におく」とされている。教師の授業の計画や実践の特色は、ねらいとする学習を実現するためには、何をどのように準備し、実行すればよいのかという点にある。「深い学び」の姿が具体的で明確でないと、何をどのように計画すればよいのかが曖昧になり、取り組みが拡散する可能性がある。

「論点整理」では、「深い学び」の用語をやや漠然と用いており、「深い学び」の実践例を〝深くない〟学びの例と比較して説明しているわけではない。今後ともこの用語を用いるのであれば、実践モデルや実践例を示しながら、どこが「深い」のかを明確にし、そのためにどのような授業作りが求められるのかを示してほしいものである。新しい用語を示し、その後は現場実践の工夫に委ねるといったことでは、その後の検証評価も十分には行えない。

(2)の「他者との協働」や「対話的な学びの過程」についても、あえて「協働」との言葉を用いなくても、これまでも学校現場で課題追究学習や教室における発問―応答の学習等として実践されてきた。新しい用語を用いる場合は、包括的・抽象的に示すのではなく、より具体的で実践の姿が分かる形で説明を行いたいものである。

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