アクティブ・ラーニング 秋田の探究型授業が参考に

文科省が平成19年度から実施している全国学力・学習状況調査で、秋田県の小・中学校が常に全国トップクラスの好成績を収めているのは、よく知られている。その要因が探究型授業、すなわちアクティブ・ラーニングの実践によるとの、注目すべき報告があった。

報告したのは、秋田県検証改善委員会委員長として長年、秋田県教育の指導・改善に関してリーダー役を務めてきた阿部昇秋田大学教育文化学部教授。(一社)日本家庭生活研究協会が1月30日に都内で開いた教育シンポジウム「秋田県の教育と8年間の軌跡」の中で明らかにした。

同教授は、同県の教育がトップクラスを維持している要因として、(1)熱心に授業・学習に向かう子どもたち(2)考えの発表、話し合い・意見交換を重視する探究型授業の導入(3)授業の冒頭にめあて、最後に振り返り(4)家庭での学習習慣の定着(5)学校―家庭―地域のつながり・連携(6)実質化された授業研究システム(7)授業研究の日常化――を列挙。これらの各項目について詳しく説明した。

その中で特に印象に残ったのは、「子どもたちが自ら考えて発表する、能動的な授業がよく行われている。黙ってノートを取るだけの子はおらず、授業に参加している。学力調査問題への無回答者はほとんどいない。それらの理由からか学力調査B問題の成績がよい」「秋田県には学習塾が極端に少ないので、家庭学習の習慣が定着している。そのため、家庭での学校の復習が習慣化されており、自分で計画を立てて勉強している。その際、家庭学習ノートが役立っている」「授業研究は個人プレーではなく、研究主任を核にしたチームで対応する共同研究がよく行われている」などの発言だった。

これらの実践報告を踏まえ、「学習者が対話・討論などにより異質な他者との関わりを生かしながら、自ら設定した課題について試行錯誤、判断・批判、推理・検証、発見・創造などの探究を行うことにより、PISA型学力、21世紀型学力を身に付けていくための教育方法」とアクティブ・ラーニングを定義。「秋田県の探究型授業は、そのモデルになる」と強調した。

アクティブ・ラーニングについては、大学関係者などからは、「知識伝達型講義を一方的に聴く受動的学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習」などと説明されている。また中教審の教育課程企画特別部会が昨年8月に発表した「論点整理」では、(1)習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程(2)他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程(3)子どもたちが見通しをもって粘り強く取り組み、自らの学習過程を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程――があげられている。だが、両者とも抽象論の域を出ず、具体性を欠いている。

次期学習指導要領に向けた改訂の方向では、アクティブ・ラーニングを導入する意義について、「論点整理」で、「改訂の視点は、『子供たちが何を知っているか』ではなく、『知っていることを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか』である」と述べている。

この視点からすれば、重要なのは、実践に裏打ちされたより具体的な授業モデルを教育関係者が一体となって創り上げていくかである。そのためにも、秋田県の探究型授業の取り組みは大いに参考になろう。

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