教員の資質向上と育成指標 国が大綱的指針示し実施を

中教審初等中等教育分科会教員養成部会(会長・小原芳明玉川大学長)は2月18日の会議で、「これからの学校教育を担う教員の在り方」を議題に取り上げ、実質的、本格的な議論を開始した。「教員に求められる資質能力」に関する過去の中教審答申、教育再生実行会議の提言を踏まえて、教員の養成・採用・研修を通じた改革の具体的方向性を探るのが目的だ。

「教員に求められる資質能力」に関する中教審答申は、過去3回出されている。平成18年7月の「今後の教員養成・免許制度の在り方」、平成24年8月の「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策」、平成27年12月の「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上」である。

このうち、平成24年8月の答申では、教員の資質能力の向上策として、(1)教職に対する責任感、探究力、自主的に学び続ける力(使命感や責任感、教育的愛情)(2)専門職としての高度な知識・技能(情報化など新たな課題に対応できる知識・技能など)(3)総合的な人間力(豊かな人間性や社会性、同僚とチームで対応する力など)――を挙げている。

さらに、平成27年12月の答申では、教員が高度専門職業人として認識されるために、「学び続ける教員像の確立」を求めるとともに、次期学習指導要領に向けた改訂を見据え、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善など新たな課題に対応できる力量の向上、「チーム学校」の考えの下で多様な専門性を持つ人材との協働の重要性にも言及している。

その上で、教員の養成・採用・研修を通じた改革の方向性として、次の「教員育成指標」の策定を打ち出している。

▽高度専門職業人として教職キャリア全体を俯瞰しつつ、教員がキャリアステージに応じて身に付けるべき資質や能力の明確化のため、都道府県などが整備する。
▽その際、教員を支援する視点から、現場の教員が研修を受けることで自然と目安になるような指標とする。
▽育成指標は、教員の経験や能力、適性などを考慮しつつ、各地域の実情に応じて策定されるものとする。
▽各地域における育成指標策定のために、国は各地域の自主性、自律性に配慮しつつ、整備のための大綱的指針を示す。

この日の会議では、育成指標を策定している県や指定都市の教委の取り組みが前向きなのに対し、養成する側の大学の取り組みが消極的であることが分かった。

教員の資質能力の向上については、最終的には担う責任が国にある。そのためにも大綱的指針を早急に策定する必要がある。この日の会議でも「国が大枠を決め、その指針に基づいて育成指標を作る」のを前提にすることに異論はなかった。ただ「価値観の押し付けにならないように、教師自身が伸びるような指標を目指す必要がある」など、耳を傾けるべき意見も聞かれた。

また「教員育成指標」を策定し、教員の養成・採用・研修を通じた教員の資質能力の向上を図るためには、教委と大学との連携を図ることが急務である。文科省が昨年7月に実施した「教員の資質能力の向上に関する調査」で、教委と大学との連携の有効性の有無を聞いたところ、「有効」と回答したのは教委側が82%に対し、大学側は56%にとどまっていた。ここでも大学側の消極的な姿勢が垣間見られた。

育成指標の重要性を認識し、大学側の積極的な姿勢転換を強く望みたい。

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