学校と地方創生 各自治体が体系的取り組みを

現在、全国各地の自治体・教委で、学校と地域が一体となって地方創生の施策に取り組む機運が高まっている。特に、1月25日に文科省が一億総活躍社会の実現のため、「次世代の学校・地域」創生プラン(馳プラン)を策定したことをきっかけに、その動きに弾みがついたともいえる。

学校と地域が一体となって地方創生に取り組めるよう道を開いたのは、昨年12月21日の中教審の3つの答申である。すなわち、「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員養成コミュニティの構築に向けて」で、同省ではこの3つの答申内容を実現するために、学校・地域それぞれの視点に立ち、「次世代の学校・地域」が一体となった体系的な取り組みを進めていくとしている。

その際、(1)学校に係る観点からは、社会に開かれた教育課程の実現、学校の指導体制の質・量両面での充実、地域とともにある学校への転換という方向性(2)地域に係る観点からは、次代の郷土をつくる人材の育成、学校を核としたまちづくり、地域で家庭を支援し子育てできる環境づくり、学び合いを通じた社会的包摂という方向性――を目指すべきだとしている。

このような基本路線に沿って取り組んでいる自治体に、例えば京都市がある。同市では「学校教育の重点」項目に、「伝統と文化を受け継ぎ、次代と自らの未来を切り拓く子ども」を掲げ、「京都に根ざす伝統と文化」を重視した教育活動(小学校3年生の国語科と道徳、6年生の社会科)を展開している。
その結果、「地域素材を教育課程に効果的に位置付けることで、過去と現在のつながりを感じたり、地域のよさに気付いたりするなど、地域で学ぶ強みを生かそうとする子どもたちの姿が見られた」という。

国際的な観光地である神奈川県箱根町では、(1)地域教育(2)箱根ミニマム=基礎・基本の定着(3)情報教育(4)国際理解教育(5)心の教育の5つの柱からなる「箱根教育」を実施している。

特に「地域教育」では、「観光」の視点から総合的な学習の時間を見直し、将来、観光業を背負っていけるリーダーの育成を目指している。

栃木県塩原町では、県で初となる施設一体型一貫校の塩原小中学校で、コミュニケーション能力の育成を図る英語教育と、塩原を愛する心を育む地域学習を連動させ、その到達目標として9年生が修学旅行先で、自作の英語版塩原観光リーフレットを配布する活動を展開。児童生徒に自信と誇りを持たせる学習につながったという。

ここで挙げたのは、好事例である。全国的にみれば、各自治体の地域の実態や特色、強みなどを効果的に生かした取り組みは、まだまだ、それほど多いとはいえない。緒に就いた段階といえよう。

地域を活性化させ、地方創生につながる教育の展開に、反対する意見はないと思われる。子どもたちの取り組みが、大人たちを動かす実践も生まれている。ぜひ、各自治体の積極的な取り組みに期待したい。

「次世代の学校・地域創生プラン(馳プラン)」の改革工程表によると、同プランの予算措置に伴う全面実施は、平成32年度となっている。それまでに同省は、各自治体が実践に取り組みやすいよう、その環境づくりに努力を傾注してほしいものである。

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