幼児教育とAL 「深い学び」につながる可能性も

中教審初中教育分科会教育課程部会は、次期学習指導要領で有力となる学習・指導方法として、アクティブ・ラーニング(AL=主体的、協働的学習)の導入を打ち出した。同部会の下部組織である幼児教育部会(無藤隆主査)は早速、その具体的な検討に入った。キーワードは「深い学び」である。
幼児教育部会のこれまでの会合では、各委員から、ALに関して次のような問題が提起されている。

「幼稚園教育要領が目指す姿は、資質・能力という考え方とALという視点とをどう考えるかである。幼稚園教育の基本、中心部分は、まさにこの方向でいかに引き継いでいくことができるかだ。それが小学校教育という枠の中でどのようにつながるかを教育要領で明確化することではないか」

「ALの基本は、先生が一方的に教えて一定の答えになるというのではなく、違う答えもあるとか、違う答えや価値観をもう少し自分で考えさせるとか、そのようなところの入り口が幼児教育にあるのではないか」

「ALの視点をより砕いてみると、3つの学びである『深い学び』『対話的な学び』『主体的な学び』が解説されている。この書き方が幼児期にそのまま適用されるわけではないが、それに近いものはいろいろあり得る。例えば、領域『環境』では、幼児の好奇心、探究心を大事にすることが規定されている。これを『深い学び』と関連付けられないか」

どれも、的を射た貴重な発言として受け止めることができる。

このような指摘を踏まえて同部会は、3月7日に開かれた第5回部会で、(1)幼児教育の特性に配慮した教育内容の改善充実(2)ALの3つの視点を踏まえた、幼児期に育成すべき資質・能力を育むために重視すべき指導等の改善充実――の2つの論点をめぐって審議した。

このうちALに関する論点としては、(1)幼児教育における学びの過程のイメージ(たたき台)を踏まえ、改善すべき点はないか(2)教師の関わり、環境の構成、教材などの観点から改善すべき点はないか(3)教育課程全体において重視すべき学習活動などの観点から改善すべき点はないか――を挙げ、集中審議した。

各委員からは「幼児期に遊びを通して、自分の知恵を生かし、学ぶことの素晴らしさを経験させるのが大事」「幼稚園と小学校の教師とでは、『遊び』の捉え方が違う。明確化する必要があるのではないか」「幼児教育は、小学校教科の前倒しになってはいけないが、生活科との連携も重要で、難しい課題を担っている」などの多くの貴重な意見が出された。

今後の幼児教育とALを考える上で重視すべき課題として複数の委員から指摘されたのは、「深い学び」への対応だ。「幼児教育の根本は、本物に触れながら総合的に学ぶこと、まねて学ぶことではないか。先回りして教師が指導してしまうのではなく、子どもが行きつ戻りつしながら学ぶことが大事。浅い学びの蓄積が深い学びへとつながる」などの意見が出された。

このように幼児教育とAL問題は密接な関係にあり、「深い学び」へと誘導する可能性があるとの貴重な提言がなされたわけだ。ある委員は「これを実現するためには、園としてどういう教育をして、子どもたちの力を育んでいきたいのか。これを明らかにするためにも、カリキュラム・マネジメントをしっかりやっていくことが大切」と述べていた。参考にしたい意見だ。

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