いじめ防止対策は万全か 次年度に向けて校内体制を整備

いじめによって命を絶つ痛ましい事件を機に、平成25年の「いじめ防止対策推進法」制定から2年が経過している。

同法は、いじめの防止、早期発見・早期解決、重大事態への対処などに関する取り組みを教委・学校など関係者に求めたものだが、いじめ問題は後を絶たず、認知件数は増加している。同法第13条規定の各校での「学校いじめ防止基本方針」が形骸化しているとする指摘もある。

このような状況の中で文科省は「いじめ防止対策推進法に基づく組織的な対応及び児童生徒の自殺予防について(通知)」(平成27年7月)を発出している。さらには「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における『いじめ』に関する調査」(平成27年10月27日)を公表し、依然としていじめ問題が深刻な状況にあることを訴え、各学校におけるいじめ防止対策による実効的な取り組みを求めている。 年度末のこの時期には、どの学校でも今年度の教育活動を総括し、次年度の取り組みに向けた協議が行われる。

その際、「学校いじめ防止基本方針」の取り組み状況に関する学校評価の結果をぜひ取り上げてほしい。いじめ問題の多くは、学校の「未然防止策」や「組織対応・情報共有」が教職員に徹底されていないことから起こる場合が多い。

いじめ問題の解消は、学校経営上の重要な課題の1つである。次年度の教育計画は、今年度のいじめ問題に関する学校評価の結果に基づいて、より改善・充実したものとして示したい。いじめ問題に対し何よりも重要なのは、児童生徒一人ひとりに、いじめの辛さや痛みを感じ取れる感性や心の豊かさを育むことに、全教職員が誠心誠意取り組むことである。

同法第15条には、児童生徒の豊かな情操と道徳心の涵養、心の通う対人能力の育成等を規定し、全ての教育活動を通して計画的に実施されるのを求めている。法の趣旨を生かした学校経営とするためには、教職員の意思の統一と組織的な対応が必要である。組織的な対応として「いじめ防止対策委員会」が設けられていると思われるが、委員としては生徒指導主任、教務主任、学年主任、道徳教育推進教諭、特別活動主任など複数の教職員による全校体制で構成されるのが望ましい。

また可能であれば、第22条の規定にある「心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者」を、教委の支援を得て委員に加えたい。いじめ防止対策委員会は、包括的・系統的な「いじめ防止対策」を策定し、それに基づいた具体的な活動は、学級活動や学校行事、各教科の授業など全ての教育活動において全教職員による協働体制で取り組む。

いじめ防止対策への具体的な活動として、児童会・生徒会の主体的な活動とともに、保護者や地域住民の協力に基づいた活動も取り入れたい。

いじめ問題が重大な事態に至った事例に共通している課題には、この問題に関する情報が共有されないという教員間の意思の疎通に関する点が挙げられる。学級担任がいじめ問題に気付いていたとしても、解消に向けて、学校としての組織的な対策を取らなかったために、問題が深刻化する場合が多い。いじめ問題は、学校経営におけるスクールコンプライアンスと密接な関わりがあるが、何よりも、児童生徒や保護者にとって学校が安心・安全な場であると受け入れられる万全の策を示すことが必要である。

関連記事