高校の新科目「公共」 個人の尊重、社会・国家の協働前面に

高校の次期学習指導要領に向けた改訂論議で注目されている新科目「公共」(必履修)は、現在、構成や内容などの取り扱いをめぐり、中教審で最終的な検討が進められている。

特に、教育課程部会の社会・地理歴史・公民ワーキンググループ(主査・土井真一京都大学大学院法学研究科教授)が4月4日に開いた総則・評価特別部会での報告は、その方向性を知る上で参考になろう。折しも、今夏の参院選から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられなど、「主権者」としての高校生の教育が重視されているだけに、1日も早い全容の報告が待たれる。

新科目「公共」は、平成25年に自民党が、高校生に社会で必要になる規範意識を養うのは教育上で重要として設置を提言。これに応える形で、文科省も、現行の科目よりも実践的で幅広い新科目が必要と判断し、中教審に諮問したもの。今年度中に答申の予定だ。

現在、答申案のたたき台では、その方向性について、(1)現代社会の課題を捉え、考察するための基準となる概念や理論を古今東西の知的蓄積を通して習得する(2)立場や文化によって意見の異なるさまざまな課題について、その背景にある考え方を踏まえてよりよい解決の在り方を協働的に考察し、公正に判断し、合意形成する力を養う(3)持続可能な社会づくりの主体となるために、さまざまな課題の発見・解決に向けた探究を行い「平和で民主的な国家及び社会の形成者」として必要な資質・能力を養う――の3点が挙げられている。

方向性についてのこれらの記述は具体性に欠けており、社会・地理歴史・公民ワーキンググループの報告は、新科目「公共」に対する各委員の意見を次のように集約している。

▽新科目「公共」では、第一に各人の人間としての在り方・生き方、第二に各人が形づくる社会の在り方、第三に各人の社会に対する関わり方。この三つについて個人の尊重や社会的な協働などを基礎として考察し、それを通じて国家社会の形成者として必要な基本的知識の習得と思考力・判断力・表現力及び主体的な社会参画に向けての意欲や態度などの育成を目指すことなどを考えている。

▽そのために科目を三つの柱で構成することとし、第一の「公共の扉」では、先人の取り組みや知恵を踏まえ、人間としての在り方・生き方や公共的な空間の在り方を考える上で基礎となる見方・考え方の習得を図る。

▽第二の「自立した主体として社会に参画し、社会と協働するために」では、社会を形づくる政治・経済・法などのシステムの基本を理解し、そうしたシステムを通じて、いかに社会に参画していくかを学ぶ。

▽第三の「持続可能な社会づくりの主体となるために」では、前二つの柱での学習を踏まえ、現代社会の諸課題について探究学習を行い、その解決に向けて、各人がどのようにして主体的に関わっていくかを検討する段階に入る。

このように新科目「公共」では、高校生各人が「人間としての在り方・生き方」を追究し、それを個人の尊重や社会との協働などを考察して、国家社会の形成者を育成(教育)するという図式が描かれている。

とはいっても、この新科目を、目先の選挙を視野に、単なる主権者教育を推進する授業にしてはならない。そうならないための、何らかの歯止めを考慮しておく余地はあろう。

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